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ジムのベンチに座って、ラックから20kgのダンベルを1本引き抜いた瞬間、「これを2本、胸の上で支えるのか」と少し身構えた経験はないでしょうか。ダンベルプレス20kgは、多くの人が最初に「重さの意味」を体で理解する重量です。
結論から言うと、片手20kg(左右合計40kg)でダンベルプレスのセットを組めるようになれば、初心者の段階は抜けたと考えていい水準です。男性の平均が片手15kg前後と言われるなかで、20kgはその一つ上の景色に当たります。ただし「20kgを1回持ち上げられた」と「20kgで8〜12回のセットを3回こなせる」はまったく別の話で、この差を埋める作業こそが筋トレの本体です。
この記事では、20kgという数字が筋トレ全体のどこに位置するのか、ベンチプレスに直すと何kgぶんの力なのか、何回挙がれば合格ラインなのかを数字で整理します。そのうえで、20kgに届かない人がつまずいている動作の癖、15kgから20kgまでの階段の登り方、そして自宅で20kgを扱うときに器具選びで失敗しないための条件まで、順番に見ていきます。
・ダンベルプレス片手20kgが男女別・経験年数別でどのレベルに当たるか
・片手20kgをベンチプレスに換算すると何kgになるか(回数別の早見表つき)
・20kgで潰れる人がやっている3つの動作ミスと、その直し方
・15kgから20kgまでを最短で埋める刻み幅の考え方
・自宅で20kgを扱うための器具3タイプの実勢価格とサイズ比較
ダンベルプレス20kgは筋トレ全体のどのあたりに立っているのか

まず「20kgって強いんですか」という質問に、数字で答えます。基準がわかると、次にやるべきことも決まります。
男性の平均は片手15kg。20kgはひとつ上の景色
ダンベルプレスの平均重量は、男性で片手15kg前後、女性で片手5kg前後とされています。この数字を基準にすると、片手20kgは平均を一段超えた位置にあります。レベル別の目安では初心者が15〜20kg、中級者が25〜30kg、上級者が35〜40kgと整理されることが多く、20kgは初心者ゾーンの上限、つまり「卒業ライン」に当たる重量です。
この位置づけが大事なのは、20kgが「がんばれば届く」現実的な目標だからです。ジムに通い始めて数か月から1年ほどで到達する人が多い帯であり、才能や体格に恵まれた人だけの数字ではありません。逆に言えば、20kgで止まってしまうと「初心者の上限に張りついたまま」という状態になります。
使いどころとしては、自分の現在地を測るモノサシとして便利です。15kgで8回が限界なら初心者ゾーンの真ん中、20kgで12回できるなら中級者の入り口に足がかかっています。ただし注意したいのは、この平均値が体重を考慮していない点です。体重が軽い人の20kgと、体重が重い人の20kgでは、体重比でまったく別の難易度になります。平均値は目安であって、あなたの評価そのものではありません。
RM=Repetition Maximum(最大反復回数)。その重量で何回反復できるかを表します。10RMなら「10回が限界の重さ」、1RMなら「1回だけ挙がる最大重量」。この記事で「20kgで10回」と書くときは、10RMに近い状態を指しています。
「合計40kg」で数えると、印象がガラッと変わる
片手20kgと聞くとピンとこない人も、左右合計40kgと言い換えると重さの実感が湧きます。40kgは米袋4袋ぶん、小学校低学年の子ども1人ぶんに相当する質量です。それを仰向けの状態で、胸の上で軌道をコントロールしながら上げ下げする動作がダンベルプレス20kgです。
合計で数える意味は、バーベルとの比較がしやすくなる点にあります。バーベルのベンチプレスはシャフトを両手で支えるため左右がつながっており、片側が弱くても強い側が補えます。ダンベルは左右が完全に独立しているので、弱い側の限界がそのままセットの限界になります。同じ40kgでも、ダンベルのほうが体感がきついのはこの構造の違いによるものです。
この差を実感できるのは、20kgあたりからです。10kg程度なら左右差があっても押し切れますが、20kgになると弱い側だけが先に落ちてきて、軌道が崩れます。左右差の存在に初めて気づくのが、ちょうどこの重量帯だと考えてください。
ただし合計で語るときは、数字の扱いに注意が必要です。ネット上の「ダンベルプレス40kg」という表記は、片手40kgを指す場合と合計40kgを指す場合が混在しています。他人の記録と比べるときは、必ずどちらの数え方かを確認してください。ここを取り違えると、実際は倍の差があるのに「自分は同じくらい」と誤解することになります。
女性にとっての20kgは、まったく別の意味を持つ
女性のダンベルプレス平均は片手5kg前後とされ、経験別では初心者(〜3か月)が4〜6kg、中級者(4〜6か月)が5〜7kg、2年以上の経験者で8〜10kgという目安が示されています。この基準に照らすと、女性が片手20kgを扱えるのは相当に鍛え込んだ状態です。
理由は筋量の絶対値の差にあります。上半身の押す動作は男女差が出やすい部位で、同じトレーニング年数でも扱える重量には開きが出ます。したがって女性が20kgを目標に置く場合、男性と同じ時間軸では考えないほうが現実的です。
シーン別に見ると、女性で胸のトレーニングを継続したい人は、まず片手8〜10kgで12回を安定して行える状態を目指すほうが実りがあります。そこまで来れば、体を動かす土台としては十分に機能します。20kgはその先の話です。
注意点として、無理に重量を追うと肩や手首に負担が集中しやすくなります。手首が反り返る、肘が体の外に流れるといったサインが出たら、重量ではなくフォームの問題です。違和感や痛みが続く場合は、自己判断で続けず整形外科など専門医に相談してください。
「すごいかどうか」は体重とトレーニング年数で決まる
同じ20kgでも、体重が軽い人と重い人では意味が違います。体重比で見ると、軽い人ほど自分の体重に対して大きな割合を片手で押していることになります。ダンベルプレスの評価を体重抜きで語るのは、実は雑な話の進め方です。
根拠として、押す種目の記録は体重との相関が強く、増量期に体重が増えると重量も伸びやすくなります。逆に減量中は同じ20kgが重く感じられます。体重が5kg変われば、扱える重量の体感も変わると考えてください。
比較の軸としては、トレーニング年数も外せません。開始半年で20kgに届いたのか、3年かけて20kgなのかでは、意味合いがまったく違います。前者は伸びしろの真っ只中、後者は組み立てそのものを見直す時期に来ています。
注意点は、他人との比較に時間を使いすぎないことです。比較すべき相手は3か月前の自分です。3か月前と同じ重量・同じ回数で止まっているなら、そこにこそ改善の余地があります。
片手20kgはベンチプレス何kgぶんの力なのか
ダンベルしか触っていない人が気にするのが、バーベルに直すと何kgかという点です。ここは計算式が確立しています。
換算の基本は「片手重量×2.4」
ダンベルプレスからベンチプレスへの換算は、片手の重量に2.4を掛けるのが標準的な方法です。実測ベースでは2.2〜2.5倍の幅に収まる人が多く、その中央値として2.4が採用されています。片手20kgなら、単純計算で48kg前後がベンチプレスの相当重量になります。
なぜ2倍ではなく2.4倍なのかというと、ダンベルは左右が独立していて安定性を自分で作らなければならないぶん、同じ重量でも動員される筋力が大きくなるからです。合計40kgのダンベルを扱える人が、バーベルなら40kgを超える重量を扱えるのはこの理屈です。
使いどころは、ジムでバーベルに移行するときの初期設定です。自宅でダンベルプレス20kgを続けてきた人がベンチ台に初めて座るとき、いきなり60kgを載せるのは危険ですが、40kg台から試すという判断ができます。
注意点として、この係数はあくまで統計的な中央値です。肩関節の安定性が高い人は2.5倍を超え、バランス保持が苦手な人は2.2倍を下回ります。初回は必ず低めの見積もりから入り、補助者かセーフティを用意してください。

ダンベルプレスで片手20kgを10回上げられるようになったのに、いざベンチプレスのバーに40kgを載せたら軽すぎた。あるいはその逆で、ベンチプレス60kgを挙げ…
回数まで入れると、換算はもっと具体的になる
1回しか挙がらない重量と、12回挙がる重量では、同じ20kgでも強さがまるで違います。そこで使うのがRM換算式です。ダンベルの推定1RMは「重量×(1+回数÷40)」で求め、その値に2.4を掛けるとベンチプレスの推定1RMが出ます。
この式に片手20kgを入れると、回数ごとの推定値は次のようになります。
| 20kgで挙がる回数 | 推定ベンチプレス1RM | 位置づけ |
|---|---|---|
| 5回 | 54.0kg | 20kgに手が届いた段階 |
| 8回 | 57.6kg | 筋肥大レンジに入った |
| 10回 | 60.0kg | 20kgを「扱えている」水準 |
| 12回 | 62.4kg | 重量を上げる準備が整った |
| 15回 | 66.0kg | 重量が軽すぎる可能性 |

表を見ると、5回と15回で推定値に12kgの差が出ています。「ダンベルプレス20kg」という同じ言葉でも、中身にこれだけの幅があるということです。だから他人の記録を聞くときは、必ず回数もセットで確認してください。
使いどころとしては、目標設定に向いています。ベンチプレス60kgを目標に置いている人なら、ダンベル20kgで10回という具体的な通過点に置き換えられます。数字が具体的になるほど、その日のトレーニングでやるべきことが明確になります。
注意点は、この換算式が推定値である点です。とくに片手70kg以上のような高重量域では個人差が強く出るため、あくまで目安として扱ってください。
換算が当てにならなくなる3つの条件
換算式は便利ですが、外れるケースもあります。第一に、ダンベル特有のバランス保持が苦手な人です。この場合ダンベルの記録が実力より低く出るため、換算すると実際のベンチプレスより小さい値になります。
第二に、可動域の深さが違う場合です。ダンベルプレスは上腕が床と水平になる位置よりさらに深く下ろせますが、バーベルは胸で止まります。深く下ろすフォームで20kgを扱っている人は、換算値より高い数字がバーベルで出ることがあります。
第三に、スタートポジションの作り方です。20kgのダンベルを膝に乗せて反動で胸の位置まで持ち上げる動作自体に体力を使うため、この工程で消耗すると本来のセット数が出せません。バーベルはラックから受け取るだけなので、この消耗がありません。
したがって換算値はあくまで初期設定の目安として使い、実際のベンチプレスでは必ず軽い重量から段階的に上げてください。初回でいきなり換算値に挑戦するのは、器具の扱いに慣れていない段階では避けたほうが安全です。
20kgで何回挙がれば「扱えている」と言えるのか

1回挙がれば20kgを扱えると言っていいのか。ここには明確な基準があります。
8〜12回が、公的にも支えられているレンジ
厚生労働省のe-ヘルスネットは、ウエイトトレーニングの強度について「最大挙上重量の60〜80%」、反復回数について「8〜12回」という目安を示しています。この範囲が、筋肉に十分な刺激を与えつつ関節への負担を抑えられる帯だという整理です。
この基準を20kgに当てはめると、20kgで8〜12回を反復できる状態が「20kgを扱えている」ということになります。逆に1回だけ挙がる20kgは、あなたにとって1RMに近い重量であり、日常のトレーニング重量としては重すぎます。
使いどころとしては、その日の重量を決める判断基準になります。1セット目で13回以上できるなら軽すぎ、7回以下で潰れるなら重すぎ。8〜12回に収まる重量が、その日のあなたの適正値です。
注意点は、この回数を「反動を使ってでも到達する数字」と勘違いしないことです。腰を浮かせて反動で押し上げた10回は、8〜12回の基準を満たしていません。胸の筋肉でコントロールできた回数だけを数えてください。
片手20kgで8〜12回を、フォームを崩さずに3セット。これが「20kgを扱えている」と言える状態です。1セット目だけ10回で、3セット目が5回まで落ちるなら、まだ20kgはあなたの常用重量になっていません。まずは全セット8回以上を安定させることを目標にしてください。
3回で潰れる20kgは、まだ「20kgの人」ではない
SNSで「ダンベルプレス20kg挙がりました」という投稿を見かけますが、その多くは1〜3回の記録です。この状態を自分の使用重量として扱い始めると、トレーニングの質が落ちます。
理由は、限界に近い重量では正しい軌道を維持できないからです。3回目で潰れそうな重量は、2回目からすでにフォームが崩れ始めています。崩れた軌道で押す動作を繰り返すと、狙った胸の筋肉に刺激が入らず、肩や肘に負荷が逃げます。
比較すると、20kgで3回×3セット(合計9回)と、15kgで10回×3セット(合計30回)では、後者のほうが胸に与える総負荷量は大きくなります。重量の数字だけを見て前者を選ぶのは、遠回りです。
注意点は、たまに高重量に挑戦すること自体は問題ないという点です。月に一度、記録更新を狙って低回数に挑む日を作るのは有効です。問題なのは、それを毎回のメニューにしてしまうことです。
重量を上げるタイミングは「11回できた日」
次の重量に進む判断基準として使いやすいのが、11回以上できるようになったらというルールです。8〜12回のレンジの上限に達したということは、その重量があなたにとって軽くなった証拠です。
この基準の根拠は、漸進性過負荷の原則にあります。e-ヘルスネットも筋力トレーニングの基本原則として漸進性過負荷を挙げており、同じ負荷を続けても適応は起きません。回数が伸びたら重量を上げる、というサイクルを回し続ける必要があります。
実際の運用としては、全セットで11回以上できた日を基準にしてください。1セット目だけ11回で3セット目が7回なら、まだその重量で伸ばす余地があります。全セットが揃ってから上げると、次の重量でも8回以上を確保しやすくなります。
注意点として、重量を上げた直後は回数が落ちます。18kgで12回できていた人が20kgに上げると、8回程度まで落ちるのが普通です。これは後退ではなく正常な推移なので、回数が落ちたことを理由に重量を戻さないでください。
週2〜3回。それ以上でも以下でもない
頻度については、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が成人・高齢者に対して筋力トレーニングを週2〜3日実施することを推奨しています。胸のトレーニングも、この頻度が土台になります。
根拠として、e-ヘルスネットは標的の筋肉に十分な回復期間としてトレーニング間隔をあける必要があると説明しています。負荷をかけた直後の筋肉は回復過程にあり、間隔を詰めすぎると回復が追いつきません。
週2回なら「月曜と木曜」、週3回なら「月・水・金」のように、中1〜2日を確保する組み方が現実的です。20kgに挑戦している段階では、胸を週2回に設定し、そのうち1回をダンベルプレス中心の日にする配分が扱いやすいでしょう。
注意点は、頻度を増やせば早く到達できるわけではないことです。週5回胸を鍛えても、回復が追いつかなければ重量は伸びません。同じガイドは、筋トレを実施している群が実施していない群と比べて総死亡リスクおよび心血管疾患・全がん、糖尿病・肺がんの発症リスクが10〜17%低いことも報告しており、続けること自体に価値があります。無理な頻度で中断するより、週2回を1年続けるほうが結果は出ます。
20kgで潰れる人がやっている3つのこと
18kgまでは順調だったのに20kgで急に挙がらなくなる。これは筋力の問題ではなく、動作の問題であることが多いパターンです。
失敗パターン1:脇を開いて下ろしている
もっとも多いのが、ダンベルを真横に下ろしてしまうケースです。体軸と上腕の角度が90度以上に開くと、肩関節に強い負荷がかかり、胸の筋肉が力を発揮しにくい姿勢になります。
原因は、軽い重量のときに身についた癖です。10kg程度なら脇が開いていても押し切れるため、間違いに気づかないまま重量だけ上がっていきます。20kgになって初めて、その姿勢では押せないという事実に直面します。
対策は、ダンベルを下ろす位置を肩のラインよりややヘソ寄りにすることです。肘が体の斜め下に向かう軌道になり、大胸筋が働きやすい角度に収まります。肩関節は可動域が広い反面、構造として不安定な関節なので、負荷の方向を誤ると炎症や筋損傷につながりやすい部位です。
注意点として、この修正を入れると一時的に扱える重量が落ちます。今まで20kgが挙がっていた人が18kgに戻ることもありますが、正しい軌道で18kgを積み上げたほうが、最終的に届く重量は高くなります。肩に痛みが残る場合は、自己判断で続けず専門医に相談してください。
・ダンベルを下ろしたとき、肘は真横ではなく斜め下を向いているか
・肩甲骨を寄せたまま、動作中ずっと維持できているか
・上腕が床と水平になる位置まで下ろせているか
・3セット目でも1セット目と同じ軌道を保てているか
この4つのうち1つでも崩れているなら、重量を上げるのは待ったほうが結果的に早く進みます。
失敗パターン2:スタートポジションで体力を使い果たしている
ダンベルプレス20kgの隠れた難所は、実は挙上動作ではなくセットアップです。20kgのダンベルを2本、膝の上から胸の位置まで持ち上げる工程で、すでに握力と体幹を消耗している人が少なくありません。
原因は、腕の力だけでダンベルを持ち上げようとすることです。座った状態で膝の上にダンベルを乗せ、そのまま腕で振り上げようとすると、20kgは腕だけでは持ち上がりません。
正しい手順は次のとおりです。①ベンチに座り、両方のダンベルを太ももの上に立てて乗せる ②片方ずつ膝で蹴り上げるように押し、その勢いで肩の高さまで運ぶ ③そのまま背中から倒れ込むように仰向けになる ④肩甲骨を寄せてから、スタートポジションを作る。膝の反動を使うのがポイントで、腕の力は最小限で済みます。
注意点は、セットが終わったあとの下ろし方です。20kgを持ったまま上体を起こそうとすると腰に負担がかかるので、胸の上でダンベルを合わせてから膝を立て、勢いを使って起き上がる手順を守ってください。床に落として器具や床を傷めるケースもあるため、ベンチ周りにスペースを確保してから始めます。
失敗パターン3:可動域を削って回数を稼いでいる
20kgで10回という数字を作りたいあまり、下ろす深さを浅くして回数だけ増やすパターンです。数字は伸びますが、筋肉への刺激は減っています。
理由は、ダンベルプレス最大の利点が可動域の広さにあるからです。バーベルはシャフトが胸に当たった時点で止まりますが、ダンベルは上腕が床と水平になる位置よりさらに深く下ろせます。この深い位置での伸展こそが、ダンベルを選ぶ意味です。浅いプレスは、その利点を自分から捨てている状態と言えます。
比較すると、可動域を確保した18kg×8回と、可動域を削った20kg×10回では、前者のほうが大胸筋の伸張刺激は大きくなります。表面上の数字と実際の効果が逆転する典型例です。
注意点として、可動域は柔軟性によって個人差があります。肩周りが硬い人が無理に深く下ろすと、かえって肩に負担が集中します。上腕が床と水平になる位置を最低ラインとし、そこから先は違和感がない範囲で調整してください。

ダンベルプレスをやっているのに、胸ではなく肩や腕ばかりが張る。重量は少しずつ上がっているのに、胸板が厚くなった実感がない。ダンベルプレスのやり方を調べている人の…
ダンベルプレス20kgに到達するための現実的な組み立て

15kgから20kgまでは、数字の上ではたった5kgです。しかしこの5kgが、多くの人にとって半年から1年の距離になります。
2.5kg刻みの階段は、20kg手前では急すぎる
一般的なダンベルの刻み幅は2.5kgです。15kgから2.5kg上げると約17%、そこからさらに2.5kg上げて20kgに乗せると約14%の負荷増になります。この幅は、初心者が体感するには小さくない段差です。
根拠として、e-ヘルスネットが示す8〜12回のレンジで考えると、一段下の重量で12回できるようになってから20kgに移った場合、20kgでは8回程度まで落ちるのが標準的な推移です。刻み幅が大きいほど、この落ち込みも大きくなります。
刻み幅が2kgなら、16kg→18kg→20kgという3段階で進めます。1段あたりの負荷増が抑えられるため、次の重量でも回数を確保しやすく、8〜12回のレンジから外れる期間が短くなります。
注意点は、刻み幅を細かくすれば必ず伸びるわけではないことです。刻み幅はあくまで階段の段差の話で、階段を登る力そのものは食事と休養で作られます。段差を整えることは前提条件であって、それだけで到達できるものではありません。

ダンベルを買おうと調べ始めると、必ず行き当たるのが「可変式」という言葉です。1台で重さを変えられるのは分かる。でも、なぜ同じ「可変式」で価格が数千円のものと数万…
停滞したら、重量ではなく回数を先に伸ばす
18kgで8回から動かなくなった。このとき20kgに手を出すのではなく、18kgで9回、10回と積み上げるほうが確実です。
理由は、重量を上げるタイミングの基準が「11回以上できるようになったら」だからです。8回で止まっている状態で20kgに移ると、5回程度しか挙がらず、8〜12回のレンジから完全に外れます。レンジの外にいる期間が長いほど、総負荷量は減ります。
実際の進め方としては、セット数を変える方法も有効です。18kg×8回を3セットでこなせているなら、4セット目を追加して総負荷量を増やします。総回数が24回から32回に増えれば、それだけで新しい刺激になります。
注意点は、回数もセット数も伸びない期間が来ることです。これは軽い週と重い週を交互に入れる期分けで乗り切る方法があります。1週間だけ15kgに落として回数を稼ぎ、翌週に18kgへ戻すと、記録が動くケースがあります。
実は先に頭打ちになるのは、胸ではなく肩と体幹
意外と知られていないのですが、ダンベルプレス20kgで壁にぶつかる人の多くは、大胸筋の力不足ではなく、支える側の弱さで止まっています。
ダンベルは左右独立しているため、押し上げる力だけでなく、軌道を保つ力が必要です。この安定性を担うのが三角筋前部・中部と、ベンチ上で体を固定する体幹です。三角筋前部や中部を鍛えることでダンベルプレス時の安定性が上がり、押す動作が強くなるため重量も伸びやすくなると整理されています。
具体的な組み方としては、胸の日にダンベルプレスを行い、別の日にショルダープレスやサイドレイズを入れる構成が扱いやすいでしょう。肩を鍛えると、胸の記録が動くという順番になります。
注意点は、肩の種目を胸のトレーニングの直前に入れないことです。三角筋が疲労した状態でダンベルプレスに入ると、安定性が落ちて本来の重量が扱えません。順番としては、胸を先に、肩を後にする配置が基本です。
ベンチと床、20kgをどちらで扱うか
ダンベルプレスはベンチ台があることが前提の種目ですが、床でも行えます。床で行う場合は上腕が床に着いた時点で可動域が止まるため、深く下ろせません。
この制限は、20kgに慣れる段階では利点にもなります。可動域が制限されるぶん肩関節が伸展しすぎず、負担が抑えられます。20kgのダンベルを胸の上でコントロールする感覚をつかむ段階では、床から始めるのは合理的な選択です。
一方で、20kgで8〜12回を安定させて次に進みたいなら、ベンチは必要になります。床では大胸筋の伸張刺激が得られず、可動域を活かすというダンベル最大の利点が使えないためです。
注意点として、床で20kgを扱うときはダンベルの着地音が階下に響きます。マンションやアパートでは、厚みのあるマットを敷いてから行ってください。ラバーコーティングのダンベルであっても、20kgの落下音は防げません。
20kgを自宅で扱うなら、器具は3タイプから選ぶ
ジムに通っている人は20kgのダンベルがラックに並んでいますが、自宅トレの場合は器具選びが直接ぶつかります。ここを間違えると、20kgに到達した瞬間に行き止まりになります。
片手20kgを扱える器具を、実際の製品で比べます。以下はメーカー公式・正規代理店の掲載スペックをもとにした比較です(筋トレの教科書調べ)。
| 項目 | IROTEC ラバーダンベル 40kg | BARWING 可変式ダンベル 24kg | FLEXBELL 2kg刻み 20kg |
|---|---|---|---|
| タイプ | プレート差し替え式 | ダイヤル可変式 | ダイヤル可変式 |
| 片手の最大重量 | 20kg | 24kg | 20kg |
| 刻み幅・段階数 | プレート最小1.25kg | 2.5kg〜24kgの15段階 | 2kg刻み・10段階 |
| 重量変更の手間 | プレートとカラーを付け外し | ノブを回して3秒 | グリップを回すだけ |
| 本体サイズ | シャフト穴径29mm | シリコングリップ採用 | W35cm × D18cm × H17cm |
| 価格 | 15,950円(2個セット) | 19,500円程度(2個セット・変動あり) | 28,400円(1個) |
表で目を引くのは、価格の考え方が製品ごとに違う点です。IROTECとBARWINGは2個セットの価格、FLEXBELLは1個の価格である点に注意してください。ダンベルプレスは左右2本が必要なので、FLEXBELLで揃える場合は2個ぶんの予算が要ります。
失敗パターン:20kg到達と同時に買い直しになる
自宅トレでよくあるのが、最初に片手10kgの固定式ダンベルを買い、半年で軽くなって買い直すパターンです。10kgのダンベルは処分にも費用と手間がかかるため、二重の損になります。
原因は、購入時点で「自分がどこまで伸びるか」を織り込んでいないことです。買った時点では10kgでも十分に重く感じるため、これで足りると判断してしまいます。しかし週2〜3回のトレーニングを半年続ければ、10kgは確実に軽くなります。
対策は、購入時に「1年後に扱いたい重量」で選ぶことです。ダンベルプレスで20kgを目標に置くなら、最低でも片手20kgまで届く製品を選んでおけば、途中で買い替える必要がありません。
注意点として、最初から重い製品を買うと初期費用は上がります。しかし固定式を複数買い足していく総額と比べれば、可変式1組のほうが安く収まるケースが多くなります。設置スペースと予算を天秤にかける場面ですが、伸びしろを見込んでおく判断が結果的に無駄を減らします。
プレート差し替え式:最安で20kgに届くが、時間を払う
IROTEC ラバーダンベル 40kg 片手20kg×2個セットは、シャフト2.5kg×2本にプレート1.25kg×4枚・2.5kg×4枚・5kg×4枚とラバーリングが付いて合計40kg、15,950円です。片手20kgに到達できる構成としては、費用がもっとも抑えられる選択肢になります。
強みは価格だけではありません。プレートを買い足せば20kgより先にも伸ばせるため、行き止まりがありません。シャフトの穴径29mmという規格が明示されているので、追加プレートも規格を合わせて選べます。ラバーリングが付属するのも自宅トレでは実用的で、床のキズと着地音を抑えられます。
使いどころは、種目ごとに重量を変える頻度が低い人です。ダンベルプレスを20kgで固定してやり込むなら、着脱の手間はほとんど発生しません。
妥協点は、重量変更に時間がかかることです。プレスの後にサイドレイズへ移る場合、片手20kgから片手6kgへ落とすには左右4か所のカラーを外してプレートを組み替える必要があります。1回あたり1〜2分でも、種目を4つ回せば毎回の積み重ねになります。
片手20kgまで最安ルートで届かせたい、プレート買い足しで先も伸ばしたい人はこの構成▼
ダイヤル可変式:20kg帯を行き来する人の時間を買う
FLEXBELL 2kg刻み 20kgは、2kg-4kg-6kg-8kg-10kg-12kg-14kg-16kg-18kg-20kgの10段階をグリップの回転だけで切り替えられる製品です。1個あたり20.8kg、サイズはW35cm × D18cm × H17cm、価格は28,400円(1個)で1年保証が付きます。
この製品が20kg目標の人に噛み合うのは、刻み幅が2kgだからです。16kg→18kg→20kgと登れるため、2.5kg刻みより段差が緩やかになります。8〜12回のレンジから外れる期間を短くできるという、前章で触れた条件をそのまま満たします。
使いどころは、1回のトレーニングで複数種目を回す人です。プレス20kg、フライ12kg、サイドレイズ6kgと変える場合でも、グリップ操作だけで完結します。設置面積も1台ぶんで済むため、ワンルームでも置き場所を確保しやすい寸法です。
妥協点は価格と、上限が20kgで打ち止めになることです。20kgで12回できるようになった時点で次の重量がありません。もう1点、可変式は内部機構があるぶん床に落とすと破損リスクがあるので、下ろすときは静かに置く習慣が必要です。
20kgの先まで見込むなら、最初から32kgモデルという手も
FLEXBELL 2kg刻み 32kgは、2kgから32kgまで16段階を1台でカバーします。1個あたり33.4kg、サイズはW43.5cm × D18cm × H17cm、価格は37,400円(1個)です。
20kgモデルとの差額に対して得られるのは、12kgぶんの伸びしろです。片手32kgはベンチプレス換算で約77kg相当に当たり、中級者の上のほうまで届く重量域になります。20kgに到達したあと買い替えるコストを考えると、最初から32kgを選ぶ判断は十分に成り立ちます。
使いどころは、すでに片手15kg以上を扱えていて、20kgが1年以内に来ると見込める人です。逆に現在10kg以下なら、20kgモデルでも数年は使えます。
妥協点はサイズと重量です。W43.5cmは20kgモデルより8.5cm長く、1個33.4kgあるため気軽に持ち運べる重さではありません。設置場所を決めてから買うことをおすすめします。
| あなたのタイプ | おすすめの選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 費用を抑えて20kgに届きたい | IROTEC ラバーダンベル 40kg(15,950円) | 2個セットで片手20kgに到達。プレート追加で先も伸びる |
| 種目を4つ以上回す | FLEXBELL 2kg刻み 20kg(28,400円・1個) | グリップ操作だけで重量変更。着脱時間がゼロになる |
| 買い替えたくない | FLEXBELL 2kg刻み 32kg(37,400円・1個) | 片手32kgまで1台。ベンチ換算で約77kg相当まで対応 |
| ベンチを置く場所がない | 床で行うフロアプレスから始める | 可動域は狭まるが、肩への負担を抑えて20kgに慣れられる |
20kgを超えた先に、何を目標に置くか
20kgで8〜12回を3セット。ここに到達したら、次のステージが始まります。
24kg、そして32kgという次の壁
20kgの次の目標として現実的なのは、24kgです。BARWING 可変式ダンベル 24kg 2個セットのように24kgまで対応する製品が価格帯として選びやすく、実勢価格は19,500円程度(時期により変動)とされています。2.5kg〜24kgを15段階で調整でき、重量誤差は約±300g以下とメーカーが示しています。
その先の32kgは、FLEXBELL 2kg刻み 32kgの上限であり、ベンチプレス換算で約77kg相当です。ここまで来ると中級者の上のほう、ジムでも目立つ重量帯になります。
ステップとしては、20kg→22kg→24kgと2kg刻みで進むのが、8〜12回のレンジを維持しやすい進み方です。20kgから一気に5kg上げると、5回程度しか挙がらない期間が長くなります。
注意点は、重量が上がるほどセットアップの難易度も上がることです。片手32kgのダンベルを膝から胸の位置まで運ぶ動作は、20kgとは別物の負担になります。高重量帯では、セットアップの練習そのものをメニューに組み込む必要が出てきます。
20kgのまま強くなるという選択肢
重量を上げる以外にも、負荷を高める方法があります。同じ20kgでも、動作の速度を変えるだけで刺激は変わります。
具体的には、下ろす動作に3〜4秒かける方法です。20kgを3秒かけて下ろし、1秒で押し上げると、1回あたりの筋肉の緊張時間が倍近くになります。回数は落ちますが、総負荷量は確保できます。
使いどころは、器具の上限に達している人です。片手20kgが上限の可変式ダンベルを使っていて、買い替えの予定がない場合、速度の変更が現実的な打開策になります。セット間の休憩を短くする方法も同じ発想です。
注意点は、これが恒久的な解決策ではないことです。速度を変えて得られる負荷増には限界があり、いずれは重量そのものを上げる必要が出てきます。半年から1年の時間稼ぎとして位置づけてください。
重量を追わないという判断も、間違いではない
ここまで重量を伸ばす話をしてきましたが、20kgで止めるという選択も成立します。トレーニングの目的が体づくりや健康維持なら、20kgは十分に機能する重量です。
根拠として、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、筋トレを実施している群が実施していない群と比べて総死亡リスクおよび心血管疾患・全がん、糖尿病・肺がんの発症リスクが、実施している他の身体活動量に関わらず10〜17%低いことを報告しています。ここで問われているのは重量ではなく、実施しているかどうかです。
シーン別に考えると、30代以降で仕事と両立している人、関節に不安がある人、減量を主目的にしている人は、20kgを維持しながら回数とフォームの質を高めるほうが継続しやすくなります。週2〜3回を10年続けることのほうが、半年で30kgに到達してから中断するより価値があります。
注意点は、「重量を追わない」と「同じことを繰り返す」は違うという点です。重量が固定でも、回数・セット数・速度・種目の順番は変えられます。何も変えないまま続けると、体は適応を止めます。
まとめ:ダンベルプレス20kgは通過点であり、分岐点でもある
まず今日やることを1つに絞るなら、次のトレーニングで「20kgが何回挙がるか」を可動域を守ったまま数えてください。上腕が床と水平になる位置まで下ろし、肘を斜め下に向けたまま、反動を使わずに数えます。その数字が8回未満なら18kgに戻して回数を積む、11回以上なら次の重量へ進む。判断はこれだけです。20kgという数字そのものより、その重量で何回・どんな軌道で押せているかが、次の半年を決めます。
なお、本文中の価格・スペックはメーカー公式および正規代理店の掲載内容をもとにしています。価格は時期や販売店により変動するため、購入前にIROTEC公式ショップやFLEXBELL正規代理店の最新情報をご確認ください。トレーニングの頻度・強度の考え方は厚生労働省 e-ヘルスネットを参照しています。関節に痛みや違和感がある場合は、専門医にご相談ください。

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