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脇腹の筋トレを調べると必ず出てくるのがダンベルサイドベントです。片手にダンベルを持って体を横に倒すだけ。見た目はこれ以上ないほど単純なのに、実際にやってみると「脇腹より腰にくる」「何回やっても効いている感じがしない」という声が驚くほど多い種目でもあります。
先に結論をお伝えします。サイドベントが効かない・痛いの原因は、ほぼ例外なく「重すぎるダンベル」と「一緒に傾いている骨盤」の2つです。トレーナー監修の解説でも重量は5kgから始めて徐々に上げる、下半身を固定して上半身だけを動かす、という2点が繰り返し強調されています。逆に言えば、この2つさえ押さえれば脇腹の伸び縮みは初日から感じ取れます。
この記事では、サイドベントで実際に働いている筋肉を解剖レベルで整理したうえで、重量の決め方、4ステップの手順、効かない人がハマる3つの落とし穴、腰が痛くなったときの逃げ道、週の頻度設計、そして自宅用ダンベルの選び方までを通しで解説します。ジムで隣に立って教えるつもりで、数字とともに進めます。
・サイドベントで動いている3つの筋肉と「側屈」の正体
・5kgスタートが定説な理由と、自分に合う重量の見つけ方
・脇腹に効かない人がやっている3つの動作ミス
・腰が痛くなる人向けの座って行うバリエーションと頻度設計
ダンベルサイドベントで本当に動いている筋肉はどこか

「脇腹の種目」とひとことで言われますが、体を真横に倒す動作では3つの筋肉が同時に仕事をしています。どこが縮んでどこが伸びているかを先に知っておくと、フォームの善し悪しを自分で判定できるようになります。
外腹斜筋は「倒した側」が縮んでいる
サイドベントの主役は外腹斜筋です。腹斜筋群のなかで最も浅い層にあり、脇腹の表面をおおっています。作用は同側の側屈と、反対側への回旋。つまり右に体を倒せば、縮んで働いているのは右の外腹斜筋、引き伸ばされているのが左の外腹斜筋という関係です。
ここを理解しておくと、ダンベルをどちら側に持つかで意味が変わることが見えてきます。ダンベルを持った側に倒す一般的なやり方では、倒す局面は重りの重さに任せて左側の外腹斜筋がブレーキをかけ、戻す局面で左側が縮んで働きます。ネガティブ(伸ばされながら耐える局面)が自然に長くなるのがこの種目の特徴で、ゆっくり倒すほど刺激が乗ります。
注意したいのは、外腹斜筋は回旋にも関わる筋肉だという点です。倒しながら体がわずかにねじれると、狙いが側屈から回旋にズレて負荷が散ります。倒す方向は「真横」の一択で、鏡を横に置いて確認するのが確実です。
内腹斜筋は深層でウエストを締める
外腹斜筋の深層にあるのが内腹斜筋です。鼠径靱帯・腸骨稜・胸腰筋膜から起こり、斜め前上方に扇状に走ります。作用は同側の側屈と、同側への回旋。外腹斜筋とは回旋の向きが逆になっているのが面白いところで、片側の内・外腹斜筋が同時に働くと脊柱が側屈します。
腹斜筋群は両側が同時に収縮すると腹圧を高め、体幹をコルセットのように安定させます。スクワットやデッドリフトで腹圧が抜けると感じる人にとって、側屈系の種目で腹斜筋に刺激を入れておくことには意味があります。ただしサイドベントは片側ずつの種目なので、腹圧づくりが目的ならプランク系と併用するのが現実的です。
デメリットも正直に書いておくと、内腹斜筋は深層にあるぶん「効いている感覚」が外腹斜筋ほど鮮明ではありません。感覚を頼りに重量を上げていくと、体感が薄いまま重さだけが増えていきがちです。感覚ではなく回数と可動域で管理してください。
実は主役級に働いている腰方形筋
意外と知られていないのですが、体を真横に倒す動作では腰方形筋も強く関与します。腰方形筋は腸骨稜の後面内側縁から起こり、第1〜4腰椎の横突起と第12肋骨の下縁に停止する筋肉です。作用は腰椎の側屈と、骨盤・腰椎の安定。神経支配は胸神経の前枝(T12)と腰神経の前枝(L1)です。
この筋肉は呼吸補助筋としても働き、下部肋骨を引き下げて息を吐く動作を助けます。サイドベントで呼吸を止めるとこの働きが邪魔されるため、動作中に息を止めないことには解剖学的な裏づけがあります。
そして、サイドベントで「脇腹より腰の奥が張る」と感じる人の多くは、腹斜筋ではなく腰方形筋が優位に働いています。悪いことではありませんが、脇腹を狙っているのに腰が主役になっているなら、重量が重すぎるか可動域が浅いかのどちらかです。次のH2で扱う重量設定に立ち返ってください。
側屈=体を真横に傾ける動き。前に丸める「屈曲」、ひねる「回旋」と並ぶ体幹の3方向の動きのひとつで、サイドベントはこの側屈だけを取り出した種目です。
重さは5kgから。自分にとっての正解は何kgか
サイドベントで最初につまずくのが重量です。腹斜筋はそこまで大きい筋肉ではない一方、ダンベルを持つ手は腕力に余裕があるため、「持てる重さ」と「効かせられる重さ」が大きくズレます。ここを数字で決めていきます。
5kgスタートが定説になっている理由
トレーナー監修の解説では、高重量で行うと腰を痛める原因になるため5kgから始めて徐々に重さを上げていく、という進め方が示されています。5kgという数字自体に特別な根拠があるわけではありませんが、この重さには実務的な意味があります。片手で扱っても体が引っ張られすぎず、それでいて自重だけの側屈よりは明確に負荷が乗る境界線がこのあたりだからです。
自重の側屈は負荷が軽すぎて回数がいくらでもこなせてしまい、フォームの粗さに気づけません。逆に10kgを超えると、多くの初心者は倒す局面でダンベルの重さに引っ張られ、骨盤ごと傾いてしまいます。5kg前後は「重りの存在は感じるが、まだ体をコントロールできる」帯域だと考えてください。
もちろん個人差はあります。すでにデッドリフトなどで体幹に負荷をかけ慣れている人が5kgから始めると軽すぎることもありますし、運動歴のない人には5kgでも骨盤が動くことがあります。開始重量は目安であって、次に説明する物差しで調整するのが本筋です。
「20回目でつりそうになる重さ」という物差し
重量を決めるうえで使いやすいのが、20回目でつりそうな痛みを感じる重さに設定するという基準です。実際、サイドベントは20回×3セット、セット間の休憩10〜30秒という組み方が紹介されています。10回×3セットを標準とする解説もあり、いずれにせよ高重量・低回数の種目ではありません。
この物差しが優れているのは、判定が主観の「効いている気がする」ではなく、回数という客観値に紐づいている点です。15回で限界なら重すぎ、25回やっても平気なら軽すぎ。次のセッションで2.5kg動かせば済みます。
注意点として、片側20回を左右こなすと1セットあたりの動作数は40回になります。腹斜筋は疲労が抜けるのが比較的早い部位ですが、初回からいきなり3セットやると翌日の張りが強く出ます。1〜2週目は2セットに抑え、動作が安定してから3セットに増やすほうが続きます。
2.5kg刻みで上げるのがちょうどいい
重量を伸ばすときの刻み幅は2.5kgが扱いやすい単位です。5kgから2.5kgずつ積み上げていく流れなら、1段の増加率が大きくなりすぎず、フォームを壊さずに移行できます。5kg刻みで一気に倍にすると、多くの人はその日のうちに骨盤が動き始めます。
プレート式のダンベルなら1.25kgのプレートを両側に足すことで片手2.5kg刻みが作れます。固定式ダンベルを買い足していく場合も、2.5kg単位でラインナップされている製品を選んでおくと後の伸びしろが素直です。この刻み幅の話は器具選びに直結するので、後段のH2でもう一度扱います。
逆に、サイドベントは重量を伸ばし続ける種目ではないという割り切りも必要です。腹斜筋を過度に発達させるとかえってウエストが太くなる可能性があるという指摘もあり、ウエストラインを気にしている人が高重量路線に進むのは目的と手段がねじれています。目的別の考え方は後述します。

ダンベルを買おうと検索して、最初につまずくのが「で、結局何キロを選べばいいの?」という壁ではないでしょうか。5kgでは軽すぎる気もするし、20kgは持てる自信が…
①倒したときに骨盤が一緒に傾く/②体が真横ではなく前か後ろに逃げる。どちらか1つでも出たら、その重量はまだ早い合図です。骨盤が傾く場合は軽いダンベルに持ち替える、という指摘は複数の解説で共通しています。
ダンベルサイドベントの手順を4ステップで固める

フォームは複雑ではありません。むしろ単純だからこそ、細部の指定がないと自己流に流れます。ここでは4ステップに分解し、各ステップで何をチェックするかまで決めておきます。
足幅とダンベルの持ち位置を決める
ダンベルを片方の手に持ち、足を腰幅に広げて立ちます。足幅は広すぎても狭すぎても骨盤が安定しません。腰幅、つまり骨盤の幅に足の内側を合わせる程度が基準です。つま先はまっすぐ前に向け、膝は伸ばしきらずわずかに緩めます。
ダンベルは体の真横、太ももの外側に沿わせる位置で保持します。前に出すと体幹が屈曲方向に引かれ、後ろに引くと伸展方向に引かれて、どちらも側屈から外れます。腕はまっすぐ下ろしたままにして、肘を曲げてダンベルを持ち上げないこと。腕で支え始めた瞬間に脇腹への負荷が抜けます。
ここでの注意点は、鏡を正面ではなく横に置くことです。正面の鏡では前後のズレが見えません。スマートフォンを横から動画で撮るだけでも、自分が真横に倒せているかは一目でわかります。
「へそから曲げる」意識で真横に倒す
息を吸いながら、ダンベルを持った側に上半身を倒していきます。イメージは肘や肩から曲げるのではなく、へそのあたりから体を折る感覚です。肘と胸は張ったまま、ダンベルは太ももの外側を滑り降ろすように動かします。
倒す深さは「反対側の脇腹が引き伸ばされる感覚が出るところまで」。深さをcm単位で指定できる種目ではないので、伸びの感覚が可動域の指標になります。ここでダンベルの重さに引かれてストンと落ちると、伸ばされる側の筋肉がブレーキをかける時間がなくなります。2〜3秒かけて下ろすくらいでちょうどいい速度です。
やりがちな失敗は、可動域を広げようとして骨盤ごと横にスライドさせることです。下半身はしっかり固定して上半身だけを動かす、という原則がここでも効いてきます。足裏の圧が左右均等に保たれているかをチェックポイントにすると、骨盤の逃げに気づきやすくなります。
戻す局面と呼吸をセットで管理する
倒しきったら、腹斜筋を縮める力で上半身を持ち上げて元に戻します。このとき息を吐きます。体を傾けるときに息を吸って、戻すときに吐く。呼吸を止めるとトレーニング効果が低下すると解説されており、e-ヘルスネットでもレジスタンス運動全般について血圧の急激な上昇を抑えるために息をこらえないよう注意が促されています。
戻す動作で気をつけたいのは、まっすぐに戻ったところで力を抜かないことです。直立位置は腹斜筋の張力が最も抜けやすいポジションで、ここで一息つくと1回ごとに刺激が途切れます。常に力を抜かない、という指摘の意味はここにあります。反対側にわずかに越えていく必要はありません。まっすぐまで戻して、そのまま次の1回に入ります。
また、反動を使わないことが重要とされています。20回近い回数をこなす種目なので、後半になると自然にリズムで振りたくなります。回数が足りなくなったらセットを終える、というルールを先に決めておくほうがフォームは崩れません。
空いている手はどこに置くのが正解か
ダンベルを持っていない方の手は、頭に添えるのが基本形です。頭の後ろに置くことで腹斜筋のストレッチが意識しやすくなるとされ、上半身が前後に逃げにくくなる副次効果もあります。
一方で、手の位置は腰に添える場合や自然に下ろす場合もあり、やりやすいもので構わないという整理もされています。肩の可動域に制限がある人が無理に頭の後ろに回すと、肩をすくめて僧帽筋に力が入り、体幹の動きが読み取りにくくなります。その場合は腰に手を当てるほうが理にかなっています。
選び方の基準はシンプルで、「反対側の脇腹の伸びを感じ取れる置き方」が自分にとっての正解です。両方を1セットずつ試し、伸びの感覚が鮮明なほうを採用してください。
①足を腰幅、ダンベルは太ももの外側に沿わせる
②息を吸いながら、へそから折るように真横へ2〜3秒で倒す
③反対側の脇腹が伸びたところで折り返す
④息を吐きながら直立まで戻し、力を抜かずに次の1回へ
脇腹に効かない人がやっている3つのこと
同じ手順で同じ回数をこなしても、効く人と効かない人が分かれます。差が出るポイントは3つに集約でき、どれも自分で発見できるものばかりです。
骨盤ごと傾いている
最も多い失敗がこれです。上半身を横に倒しているつもりで、実は骨盤も一緒に横に傾いている、あるいは反対側に押し出されている。この状態では体幹の側屈角度がほとんど作られないため、腹斜筋は伸びも縮みもしません。動いているのは股関節周りだけ、という状態になります。
原因は重量過多か、体幹を固定する感覚の未習得のどちらかです。まずダンベルを置いて自重で10回やってみてください。自重で骨盤が動かないなら重量過多、自重でも動くなら固定の感覚が課題です。骨盤が傾く場合は軽いダンベルに持ち替える、という対処が繰り返し推奨されているのはこのためです。
対策として有効なのが、壁を背にして立つ方法です。かかと・お尻・背中を壁につけた状態で側屈すると、前後の逃げも骨盤のスライドも壁が教えてくれます。慣れたら壁から離れて同じ感覚を再現します。
体が前後に逃げている
2つ目は、真横ではなく斜め前や斜め後ろに倒れているケースです。正しいフォームでは骨盤をしっかり固定し、体が前後に倒れないようにすることが大切とされています。前に逃げると腹直筋寄り、後ろに逃げると脊柱起立筋寄りに負荷が移り、脇腹の刺激は薄まります。
特に起きやすいのが、可動域を稼ごうとした後半のレップです。疲れてくると体は楽な方向に逃げるので、15回目以降で軌道が崩れていないかを動画でチェックすると発見が早くなります。
修正のコツは、動く方向を「壁と壁のあいだの薄い隙間を横に滑る」とイメージすることです。前後に厚みのない空間を想定すると、体は自然に真横の軌道に収まります。
反動で振ってしまっている
3つ目は反動です。倒す局面をダンベルの重さに任せて落とし、戻る勢いでそのまま次の回に入る。テンポは上がりますが、筋肉が張力を発揮している時間はむしろ短くなります。反動を使わないことが重要、という注意が各所で共通しているのはこのためです。
反動が出ているかどうかは、動作の折り返しで一瞬止まれるかで判定できます。倒しきった位置で1秒静止できないなら、それは重量か速度のどちらかが速すぎるサインです。
対処は単純で、下ろし2〜3秒・折り返しで1秒静止・戻し1〜2秒というテンポを決めてしまうこと。テンポを固定すると自然に扱える重量が下がり、結果として正しい重さに落ち着きます。
腰が痛くなる人と平気な人の分かれ目
サイドベントは「腰にくる種目」という評価と「腰にやさしい種目」という評価が同居しています。どちらも実態を突いていて、条件によって結果が変わるだけです。その条件を整理します。
上体を起こさない種目なのに腰が張る理由
サイドベントは立った状態でも座った状態でも行え、上体を起こす動作がないため腰部への負担が少なく、腹筋運動で腰が痛くなりやすい人でも取り入れやすいとされています。シットアップやクランチのように腰椎を丸めて起き上がる動作がないぶん、構造的には確かに穏やかです。
それでも腰が張る人が出るのは、側屈の可動域の多くを腰椎が担ってしまうケースがあるからです。前述のとおり腰方形筋は第1〜4腰椎の横突起と第12肋骨に付着していて、側屈で強く働きます。胸郭が動かず腰だけで倒れていると、負荷が一点に集まります。
対策は可動域を胸郭側にも分散させること。倒すときに肋骨全体を横に開くイメージを持つと、腰椎だけに頼らない側屈になります。それでも腰の張りが引かない、痛みが動作後も残るという場合は種目を中断し、気になる症状が続くなら専門医に相談してください。
座って行えば骨盤は逃げられない
腰が気になる人にも、骨盤が動いてしまう人にも有効なのがシーテッドサイドベントです。椅子に座った状態で行うサイドベントは、立っているとどうしても骨盤が一緒に傾いてしまう人におすすめで、腹斜筋に効かせやすくなるとされています。
座位では坐骨が座面に固定されるため、骨盤のスライドという逃げ道が物理的に消えます。結果として同じ角度倒しても体幹の側屈成分が増え、軽い重量で必要な刺激が入ります。立位で使っていた重量が座位では1段階軽くて足りる、という現象は珍しくありません。
デメリットもあります。座位は可動域が立位より狭くなりやすく、深く倒すと骨盤が座面から浮いて意味が薄れます。両方の坐骨が座面に接し続ける範囲、が座位での可動域の上限です。回数は15〜20回×3セットというバリエーション向けの目安が参考になります。
可動域を広げたいならベンチという選択肢もある
逆に可動域を最大まで取りたい場合は、バックエクステンションで使うベンチ(背筋台)を横向きに使う方法があります。背筋台を使ったサイドベントは、より可動域を広く取れるとされています。骨盤とももがパッドで固定されるため、上半身だけを大きく倒せるのが利点です。
ただしこれは中級者以上向けの選択です。可動域が広がるということは、伸ばされた位置での負荷も大きくなるということ。立位で骨盤の固定ができていない段階でベンチに移ると、腰への負担だけが増えます。立位または座位で20回×3セットが安定してから検討してください。
自宅にバックエクステンション用のベンチがない場合、無理に代用しないほうが安全です。ソファの肘掛けや椅子の背もたれで代用すると固定が不十分になり、動作中にバランスを崩す原因になります。
動作中の一時的な張りではなく、セットを終えても痛みが残る/翌日以降も同じ場所が痛むという場合は種目を中断してください。痛みを押して継続する判断は記事では扱えません。症状が気になるときは専門医に相談を。
週に何回、何セットやるのが現実的か
フォームが固まったら、次は頻度の設計です。腹斜筋は毎日やりたくなる部位ですが、公的なガイドラインの目安から逆算するとやるべき回数は自然に決まります。
週2〜3日という公的な目安から考える
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023の情報シートとして「成人および高齢者に、筋トレを週2〜3日実施することを推奨する」と示されています。理由として、筋トレの実施は生活機能の維持・向上だけではなく、疾患発症予防や死亡リスク軽減につながるとされ、筋トレを実施している群は実施していない群と比較して総死亡リスク及び心血管疾患・全がん、糖尿病・肺がんの発症リスクが10〜17%低いという報告も紹介されています。
同時に「筋肉にしっかり負荷をかけるとともに、休息日もしっかり設けることを意識しましょう」「筋トレの時間が長くなりすぎると逆効果となる可能性も示されている」という注意も添えられています。毎日サイドベントだけを延々と続ける発想は、この目安からは外れます。
実務的には、週2〜3日のトレーニング日のうち2日にサイドベントを組み込むのが現実的です。詳しい根拠はe-ヘルスネットの筋力トレーニングに関する情報シートで確認できます。
10回か20回か、どちらで組むか
回数の推奨は解説によって幅があります。標準的なダンベルサイドベントは10回×3セット、チューブ・ケーブル・シーテッドのバリエーションは15〜20回×3セットという整理がある一方、20回×3セット・休憩10〜30秒という組み方も示されています。
この幅は目的の違いで説明がつきます。e-ヘルスネットのレジスタンス運動の項目では、マシン使用時の目安として最大挙上重量の60〜80%の重さを8〜12回繰り返すと示されています。筋肥大寄りに寄せるならこの帯域、体幹の持久力や動作の習熟を狙うなら15〜20回帯、という切り分けです。
初心者はまず20回帯から入ることをおすすめします。回数が多いほうがフォームの修正機会が増え、重量も自然と抑えられるからです。20回×3セットが2週続けて安定したら、2.5kg上げて15回帯に落ちるかを確認する、という進め方が扱いやすい流れです。
ロシアンツイスト・サイドプランクとどう組み合わせるか
腹斜筋は側屈・回旋・安定という3つの仕事をこなす筋肉なので、側屈だけを繰り返しても全部はカバーできません。回旋を担当するのがロシアンツイストで、外腹斜筋と内腹斜筋をバランス良く鍛える種目とされ、片側10〜20回×2〜3セットが目安です。安定(等尺性)を担当するのがサイドプランクで、主に内腹斜筋を鍛え、片側30〜60秒キープ×2〜3セットが目安とされています。
3種目すべてを毎回やる必要はありません。1回のトレーニングで側屈系1種目+もう1種目、という組み方で十分に幅が出ます。順番はサイドベント→ロシアンツイスト→サイドプランクのように、動的なものから静的なものへ流すと最後まで姿勢が保てます。
注意点として、腹斜筋を3種目まとめて追い込むと翌日の体幹が固くなり、スクワットやデッドリフトのフォームに影響が出ることがあります。高重量の下半身種目を予定している前日は、腹斜筋のボリュームを落としておくのが無難です。

| 目的・シーン | おすすめの組み方 | 回数の目安 |
|---|---|---|
| フォームを覚えたい初心者 | 立位サイドベント単体、週2日 | 20回×2〜3セット |
| 骨盤が動いてしまう人 | シーテッドサイドベントに切り替え | 15〜20回×3セット |
| 体幹の安定を底上げしたい | サイドベント+サイドプランク | 側屈20回/保持30〜60秒 |
| 回旋の力も伸ばしたい | サイドベント+ロシアンツイスト | 側屈20回/片側10〜20回 |

実は「くびれ作り」の主役ではない
ここで正直な話をします。サイドベントを検索する人の多くはウエストの引き締めを期待していますが、脇腹を鍛えることでその部位の脂肪が落ちるという考え方(部分痩せ)は、研究では支持されていません。1983年のKatchらの研究では、腹筋トレーニング群と対照群のあいだで体重・ウエストサイズに有意な差はなく、脂肪細胞の有意な減少も認められませんでした。2011年のVisputeらの6週間の研究でも同様の結果が報告されています。
さらに2015年に報告されたランダム化比較試験では、太り過ぎまたは肥満の女性40人を食事制限のみのグループと食事制限+腹筋トレーニングのグループに分けたところ、12週間後に統計上明らかな差は見られませんでした。13件の研究をまとめたメタアナリシスでも、局所的な筋トレによる部分的な脂肪減少は見られなかったと結論づけられています。理由はシンプルで、運動時の脂肪は全身の脂肪細胞から脂肪酸として血中に取り出されるため、動かした筋肉の真上の脂肪が優先的に使われるわけではないからです。
ではサイドベントは無意味かというと、そうではありません。ウエストの見え方は脂肪の量だけでなく、腹斜筋の張りや姿勢によっても変わります。サイドベントは腹斜筋と腰方形筋に側屈方向の刺激を入れる種目として明確な役割があり、体脂肪のコントロールは食事と全身の運動が担当する、という役割分担で考えるのが現実的です。「サイドベントを増やせばウエストが細くなる」という前提を外すだけで、頻度や重量の判断はぐっと合理的になります。
サイドベント用のダンベルはどう選べばいいか
最後に器具の話です。サイドベントは片手に1個しか持たないため、必要な条件は「重すぎず、握りやすく、2.5kg刻みで動かせる」の3つに絞られます。全身用のダンベル選びとは少し優先順位が変わります。
まずは固定式の単品という選択肢
すでに軽いダンベルを持っていて、サイドベント用に1本だけ足したいなら固定式の単品が扱いやすい選択です。プレートの着脱が不要なので、20回×3セットを左右こなすあいだも重量変更の手間がありません。ラバーコーティングされたものを選べば、床に置いたときの音とキズを抑えられます。
参考として、IROTEC(アイロテック)のNEWラバージムダンベル10KGは片手のみの単品販売で、素材はラバー(梨地素材)、シャフト径は約34mm、全長は約247mm、直径は約154mm、グリップ幅は約150mm。グリップはローレット加工仕上げで回転せず、重り部分とシャフトは溶接固定の一体成型です。メーカー公式ページの価格は8,140円(税込)となっています。
デメリットは拡張性です。固定式は当然その重さしか使えないため、2.5kg刻みで伸ばしたい人が単品で買い足すと本数と保管スペースが増えます。重量誤差も±3%と記載があるため、厳密な重量管理を求める用途には向きません。
| 重量展開 | 10KG(片手のみの単品販売) |
| 本体サイズ | 全長 約247mm/直径 約154mm/グリップ幅 約150mm |
| 素材・仕様 | ラバー(梨地素材)/シャフト径 約34mm/溶接固定の一体成型 |
| 公式価格 | 8,140円(税込) |
2.5kg刻みを作れるプレート式のセット
5kgから始めて段階的に上げていく前提なら、プレート式のセットのほうが理にかなっています。IROTECのラバー ダンベル 20kg セット 片手10kg×2個セットは、スクリューダンベルシャフト2.5kg×2本、1.25kgプレート×4枚、2.5kgプレート×4枚、1.25kg用ラバーリング×4個、2.5kg用ラバーリング×4個という構成で、合計20kg(シャフト重量含む)。プレート穴径は29mmです。
この構成が優秀なのは、シャフトのみで片手2.5kg、そこに1.25kgプレートを両側に足すと片手5kg、というように2.5kg刻みで組めるところです。サイドベントの重量の伸ばし方とそのまま噛み合います。公式ページの価格は9,020円(税込)で、10kg単品を2本買うより安く2本ぶんの重量が手に入ります。
妥協点は着脱の手間です。スクリュー式はネジを回して固定するため、セット間に重量を変えるならその時間が必要になります。また、セットのkg表記は呼称のため若干の誤差があると公式に明記されています。左右で同じ枚数を組むことだけは徹底してください。

ダンベルを買おうと調べ始めると、必ず行き当たるのが「可変式」という言葉です。1台で重さを変えられるのは分かる。でも、なぜ同じ「可変式」で価格が数千円のものと数万…
| 項目 | 20kgセット | 30kgセット | 40kgセット |
|---|---|---|---|
| 片手あたりの上限 | 10kg | 15kg | 20kg |
| サイドベント適性 | 初心者〜中級者の全域をカバー | 余裕あり。他種目にも回せる | 側屈には過剰。全身用向き |
| 公式価格(税込) | 9,020円 | 13,640円 | 15,950円 |
床と音への対策を忘れない
サイドベントは片手にダンベルを持って立ったまま行うため、動作中に落とすリスクがゼロではありません。特に20回目の限界付近では握力も落ちています。マンションやアパートで行うなら、トレーニングマットを敷いたうえで実施するのが前提条件です。
ラバーコーティングされたダンベルは、鋳鉄そのままのものより落下時の音と床のキズを抑えられます。今回紹介した2製品はどちらもラバー仕様で、プレート式のセットにはラバーリングが1.25kg用・2.5kg用それぞれ4個ずつ付属します。
もうひとつの現実的な注意は保管です。プレート式は分解した状態だとパーツが散らばり、床に置きっぱなしのプレートはつまずきの原因になります。使わない時間のほうが長い器具なので、置き場所を先に決めてから買うほうが結果的に長く使えます。
まとめ:サイドベントは重さより固定で決まる
サイドベントは器具も場所もほとんど選ばない種目です。だからこそ最初の1回を軽い重量で丁寧に置きにいけるかどうかが、その後の伸びを決めます。今日やることは1つだけ。手元にある一番軽いダンベル、なければ水の入ったペットボトルを片手に持ち、壁を背にして20回×2セットを左右こなしてみてください。骨盤が動かない感覚が掴めたら、そこから5kgに乗せていけば十分です。
※製品の価格・仕様および公的ガイドラインの内容は変更される場合があります。最新情報は各メーカー公式サイト・厚生労働省e-ヘルスネットでご確認ください。トレーニング中や後に痛みが出た場合は中止し、症状が続くときは専門医にご相談ください。

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