「4分で終わる」と聞いてHIITを始めたのに、3日で足が動かなくなってやめてしまった。あるいは、筋トレとHIITを両方やりたいけれど、どっちを先にやればいいのか分からないまま、なんとなく両方中途半端になっている。HIIT筋トレというキーワードで検索する人の多くが、この2つのどちらかで止まっています。
結論から言うと、HIITと筋トレは「同じもの」ではなく、狙う体力要素が別物です。国立健康・栄養研究所のメッツ表では、バーピーやスクワットジャンプで組んだきつい強度のHIITは11.0メッツ、一方でウェイトを使うレジスタンストレーニング(きつい労力)は6.0メッツと記録されています。同じ「きつい」でも、心肺にかかる負荷の桁が違うということです。だから順番と頻度を決めずに混ぜると、どちらも伸びません。
この記事では、タバタ式の原典プロトコルが実際に何をしていたのか、筋トレとHIITを同じ日にやると筋肉にどれくらい影響するのか(メタアナリシスの効果量で確認します)、そして厚生労働省の推奨に沿って週2〜3日で無理なく回す組み方までを、公的資料と原著論文の数値だけを使って整理します。器具は不要、自宅の床1畳ぶんから始められる内容です。
・HIITと筋トレの強度差をメッツの実数で比較できる
・タバタ式の原典プロトコル(20秒+10秒、7〜8セット、最大酸素摂取量の約170%)の中身がわかる
・筋トレとHIITの順番と、干渉効果がどれくらい起きるのかがわかる
・週2〜3日で回す1週間の組み方と、初心者がつまずく2つの失敗を回避できる
HIIT筋トレとは何か|4分の運動が11メッツに届く理由

HIITの正体は「高強度」と「不完全な休息」の繰り返し
HIITは高強度インターバルトレーニングの略で、きつい運動と短い休息を交互に繰り返す運動形式を指します。ポイントは休息が「完全回復ではない」こと。息が整いきる前に次のセットへ入るので、心拍数が高いまま積み上がっていきます。
この形式がなぜ短時間で成立するのかは、強度の数字を見ると納得できます。国立健康・栄養研究所の改訂第2版『身体活動のメッツ(METs)表』成人版では、バーピー、マウンテンクライマー、スクワットジャンプ、タバタ式などを「きつい労力」で行う高強度インターバルトレーニングが11.0メッツと記載されています。ランニングが8.0メッツ、ジョギング(自分で選んだペース)が7.5メッツですから、走るより上の強度帯です。
使いどころは、時間が取れない日の心肺トレーニングです。逆に注意点もはっきりしています。11.0メッツはあくまで「その強度を出せた場合」の値であり、動きが小さくなった時点で強度は下がります。フォームが崩れたまま時間だけ消化しても、表の数字にはなりません。
筋トレとHIITは、鍛えている場所が違う
筋トレ(レジスタンストレーニング)は特定の筋肉に負荷を集中させて筋力を上げる運動で、HIITは全身を動かして心肺と代謝に負荷をかける運動です。目的が違うので、置き換えは成立しません。
メッツ表でもこの違いははっきり出ます。ウェイトリフティングやマシンを使うレジスタンストレーニング(きつい労力)は6.0メッツ、複合的なエクササイズを8〜15回繰り返すやり方は3.5メッツです。筋トレは1セットあたりの筋肉へのストレスが大きい代わりに、セット間で休むぶん全体の心拍数は上がりきりません。数字が低いのは「楽だから」ではなく、負荷のかかる場所が違うからです。
使い分けの基準はシンプルで、筋肉を大きくしたい・重い物を持てるようになりたいなら筋トレ、息切れしにくい体にしたい・限られた時間で運動量を確保したいならHIITです。両方欲しい人が、この記事の本題である「組み合わせ」に進むことになります。
タバタ式はHIITの一種であって、HIITの全部ではない
「HIIT=タバタ式」と理解している人が多いのですが、正確にはタバタ式はHIITの中の特定のプロトコルです。20秒の運動と10秒の休息を8セット繰り返す形式が有名になり、名前が独り歩きしました。
メッツ表でも、高強度インターバルトレーニングは「ほどほどの労力」で7.0メッツ、「きつい労力」で11.0メッツと2段階で登録されています。つまり公式の分類でも、HIITには強度の幅があるという扱いです。自転車をこぐ高強度インターバルトレーニングは8.8メッツで別項目になっています。
ここを混同すると「タバタ式をやったのに効かない」という誤解が生まれます。20秒10秒という時間割だけを真似ても、強度が伴わなければ7.0メッツ側の運動にしかなりません。注意したいのは、時間割はコピーできても強度はコピーできないという点です。
メッツ(METs)=安静座位時を1とした時と比較して、何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示す単位(e-ヘルスネット)。数字が大きいほど強度が高く、歩行が約3メッツ、ランニングが約8メッツです。
4分なのに続かない人が多いのはなぜ?原典プロトコルの中身
1996年の原著が実際にやらせていた強度
タバタ式の元になった研究は、田畑泉氏らが1996年に発表したものです。高強度間欠トレーニング群の内容は、最大酸素摂取量の約170%という強度で20秒の運動を行い、10秒の休息をはさんで7〜8セット。これを週5日、6週間続けています。被験者は7名でした。
結果は、最大酸素摂取量が7ml/kg/分増加し、無酸素性作業能力が28%増加。比較対象になった中強度持久トレーニング群(最大酸素摂取量70%の強度で1日60分、週5日、6週間)は最大酸素摂取量こそ向上しましたが、無酸素性作業能力は有意に変わりませんでした。有酸素性と無酸素性の両方が同時に伸びた点が、この研究が注目された理由です。
使いどころとして押さえておきたいのは、この数字が自転車エルゴメータでの管理された強度によるものだということ。自宅のバーピーで同じ結果が出ると断定はできません。注意点は強度の重さで、最大酸素摂取量の170%は「そのまま続ければ1分持たずに動けなくなる」水準です。
失敗パターン①:初日から全力8セット、そして3日で消える
いちばん多いつまずき方が、初日にいきなり原典どおりの8セットを全力でやってしまうケースです。翌日から強い筋肉痛と倦怠感が出て、3日目には「今日はやめておこう」になり、そのまま再開しないという流れになります。
原因は、強度と本数を同時に最大にしていること。原著の被験者は継続的にトレーニングしている前提で参加していますが、運動を再開したばかりの人が同じ量から入ると、回復が追いつきません。e-ヘルスネットも筋トレについて「休息日もしっかり設けること」「時間が長くなりすぎると逆効果となる可能性がある」と注意を促しています。
対策は、最初の2〜3週間はセット数を4セット前後に落とし、動作も「ジャンプなし」から入ることです。バーピーならジャンプを省いてステップで踏み替える、スクワットジャンプは通常のスクワットの速い動作に置き換える。強度は後から上げられますが、離脱した習慣は戻すのに時間がかかります。
実は、4分で終わるのは近道ではなく「条件」だった
意外と知られていないのですが、「4分」という短さはHIITのメリットではなく、その強度でしか続けられないという制約の表れです。170%という強度は、20秒で区切って10秒挟まなければ成立しない。時間が短いのは、楽だからではなく強いからです。
この視点を持つと、選ぶべき道が変わります。4分に収めたいなら強度を上げ切る必要があり、強度を上げ切れないなら時間を伸ばすほうが理にかなっています。ほどほどの労力のHIITは7.0メッツ、自重トレーニングの高強度が6.5メッツですから、10分前後のサーキット形式(自重サーキットは6.0メッツ)でも運動量としては十分に成立します。
注意したいのは、この判断を「手抜き」と考えないこと。厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023も、全体の方向性として「個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む」「今よりも少しでも多く身体を動かす」と明記しています。4分にこだわって週0回になるより、10分で週2回のほうが推奨事項には近づきます。
心疾患や治療中の高血圧、不整脈がある人、関節・筋肉に不安がある人は、開始前に医師へ相談してください。高血圧のある人では高強度インターバル運動中の過度な血圧上昇リスクが指摘されています。運動歴が浅い場合は、低〜中強度から段階的に上げる立ち上げが安全です。
筋トレとHIITはどっちが先?順番で結果が変わる

筋肉を大きくしたいなら、筋トレを先に置く
同じ日に両方やるなら、筋肥大や筋力向上が目的の人は筋トレを先にしてください。理由は単純で、後半になるほどフォームと出力が落ちるからです。HIITで心拍数を上げ切った後にスクワットやベンチプレスへ入ると、狙った重量が扱えず、フォームも乱れます。
逆にHIITは、多少疲れていても「動きの速さ」でなんとか強度を出せる余地があります。精度が要求される種目を先、粗くても成立する種目を後、という並びが実務的です。ジムに行くなら、ウォームアップ→筋トレ→HIIT→クールダウンの流れが組みやすいでしょう。
注意点は、筋トレ後のHIITは体感がきつくなること。筋トレでグリコーゲンを使った後の全力運動は、単独で行うより早くバテます。セット数は同日にやらない日より少なめに設定し、フォームが崩れたら打ち切る判断を先に決めておくと安全です。
干渉効果は「起きる」が、想像より小さい
有酸素運動を混ぜると筋肉がつかなくなる、といういわゆる干渉効果は、数字で見ると印象が変わります。21件の研究・422の効果量を解析したメタアナリシス(Wilson JM ら、2012年)では、筋肥大の効果量は筋トレのみが1.23、併用が0.85、持久系のみが0.27でした。筋力は筋トレのみ1.76に対し併用1.44です。
つまり併用しても、持久系だけの群よりはるかに大きく伸びています。落ち込みが目立ったのはパワー(筋トレのみ0.91、併用0.55)でした。爆発的な出力を競う競技者はともかく、体づくり目的の人が過度に恐れる数字ではありません。
ただし条件があります。同じ解析で、持久系トレーニングの頻度(相関 -0.26〜-0.35)と1回あたりの時間(-0.29〜-0.75)が大きいほど、筋肥大・筋力・パワーへの負の影響が大きくなると報告されています。時間のほうが強い負の相関を示している点は覚えておいてください。長い有酸素を毎日足すのが問題であって、短いHIITを週2回足すことが問題なのではありません。
走るか、こぐかで結果が変わるという報告
同じメタアナリシスで興味深いのが、種目による違いです。ランニングを併用した場合は筋肥大と筋力の両方に有意な低下がみられた一方、サイクリングを併用した場合にはその低下がみられませんでした。着地衝撃と筋損傷の量が違うことが理由として挙げられています。
この報告をHIITに当てはめるなら、脚の筋トレをしっかりやっている人ほど、ジャンプ系より自転車系のHIITを選ぶ意味があります。メッツ表でも自転車をこぐ高強度インターバルトレーニングは8.8メッツ、自転車エルゴメータのスピンバイククラスは9.0メッツと、十分な強度が確保されています。
注意点は、機材が必要になること。自宅にエアロバイクがなければジムのバイクを使うことになりますし、負荷設定を上げないと強度は出ません。膝に不安がある人にとっては、着地のない形式は現実的な選択肢になります。

エアロバイクを買ったものの、「何分こげばいいのか」「どのくらいの重さでこげばいいのか」がわからないまま、なんとなく20分こいで終わりにしていませんか。あるいは、…
| 項目 | 筋トレのみ | 併用 | 持久系のみ |
|---|---|---|---|
| 筋肥大 | 1.23 | 0.85 | 0.27 |
| 筋力 | 1.76 | 1.44 | 0.78 |
| パワー | 0.91 | 0.55 | 0.11 |
21件の研究・422の効果量を解析した結果(J Strength Cond Res. 2012;26(8):2293-307.)
自宅で組む種目と、強度の決め方
下半身:スクワットジャンプは「着地」で難易度が決まる
脚とお尻を一度に動かせるスクワットジャンプは、HIITの主力種目です。手順は、①肩幅に足を開いて立つ ②胸を張ったまま腰を落とす(膝がつま先より大きく前に出ないところまで) ③下がった位置から真上に跳ぶ ④膝と股関節を曲げながら、つま先→かかとの順で静かに着地する、の4ステップ。着地音が大きい人は、③の高さより④の吸収を優先してください。
強度が高い理由は、跳ぶために大きな出力が必要なことに加え、着地の衝撃吸収でも筋肉が働くからです。メッツ表ではスクワットジャンプを含むきつい労力のHIITが11.0メッツ。同じスクワットでも、ウェイトを使ったレジスタンストレーニングとしてのスクワットは5.0メッツです。
注意点は膝と床。マンションではマットを敷き、階下への振動が気になるなら跳ばずに素早い立ち座りへ切り替えます。膝に不安がある人は、この種目を外して他の3種目で組んでも問題ありません。

スクワットは器具なしで今すぐ始められる種目なのに、「効いている感じがしない」「翌日に膝や腰が痛む」という声がいちばん多い種目でもあります。回数をこなしているのに…
全身:バーピーは腰の反りだけ潰しておく
バーピーは、立位→しゃがむ→足を後ろに送ってプランク姿勢→足を戻す→立ち上がる(または跳ぶ)という一連の動きで、上半身と下半身を同時に使います。メッツ表では、バーピーを含む健康体操(きつい労力)が7.5メッツ、HIITの構成種目として11.0メッツの項目にも挙げられています。
使いどころは、種目数を増やしたくない日です。1種目で全身が動くので、4分間バーピーだけでもセッションとして成立します。動きが複雑なぶん、フォームが崩れやすいのが弱点でもあります。
失敗しやすいのは、プランク姿勢に入った瞬間に腰が反って落ちること。腹圧が抜けた状態で連続すると腰に負担が集中します。対策は、足を後ろに送る距離を短くしてお尻をやや高めに保つこと。疲れてフォームが保てなくなったら、その時点でセットを終えて構いません。
体幹と心拍:マウンテンクライマーはテンポで調整する
マウンテンクライマーは、プランク姿勢のまま膝を交互に胸へ引きつける種目です。①肩の真下に手を置いてプランクを作る ②お尻の高さを変えずに片膝を胸へ ③素早く入れ替える、という流れで、体幹を固めながら心拍数を上げられます。
この種目の利点は、ジャンプがないので着地音と膝の負担が小さいことです。集合住宅で夜に動きたい人には現実的な選択肢になります。テンポを上げれば強度が上がり、落とせば下がるので、その日の調子で微調整しやすいのも扱いやすい点です。
注意点は、速くしようとしてお尻が上下に跳ねること。腰が高く上がると体幹への負荷が抜け、単なる足踏みになります。鏡やスマホで一度録画して、肩から膝までのラインが保てているか確認しておくと、以降の精度が変わります。
器具を1つ足すなら、なわとびかケトルベル
スペースの制約で動きを大きくできない人は、器具で強度を稼ぐ方法もあります。メッツ表では、なわとび(全般)が11.0メッツ、ケトルベルスウィングが9.8メッツ、ケトルベルを含むサーキットトレーニング(きつい強度)が7.5メッツです。
なわとびは前後左右の移動が要らず、1畳ほどのスペースで11.0メッツ相当の強度に届きます。ケトルベルスウィングは股関節を素早く伸展させる動きで、お尻とハムストリングスを使いながら心拍数も上げられるため、筋トレとHIITの中間的な位置づけとして使えます。
注意点は、どちらもフォーム習得が先に必要なこと。ケトルベルスウィングを腕で持ち上げる動きにすると腰と肩に負担が集中します。なわとびは着地が連続するため、脚の筋トレをした翌日は避けたほうが無難です。
| 目的・環境 | おすすめの組み方 | 強度の目安 |
|---|---|---|
| 短時間で心肺を追い込みたい | バーピー+スクワットジャンプの交互 | 11.0メッツ(きつい労力) |
| 集合住宅で音を出せない | マウンテンクライマー中心の自重サーキット | 6.0〜6.5メッツ |
| 脚の筋トレと両立したい | 自転車系HIIT(エアロバイク) | 8.8〜9.0メッツ |
| 運動を再開したばかり | ジャンプなしの自重サーキットから | 3.0〜6.0メッツ |
週2〜3日で回す1週間の作り方
厚生労働省の推奨事項を基準線にする
組み方を決めるとき、感覚ではなく公的な目安を基準線に置くと迷いが減ります。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は成人に対し、歩行またはそれと同等以上(3メッツ以上の強度)の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上、=週23メッツ・時以上)、息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上(=週4メッツ・時以上)、そして筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。
ここで言う筋力トレーニングには、マシンやダンベルを使うウエイトトレーニングだけでなく、自重で行う腕立て伏せやスクワットなどの運動も含まれると注記されています。つまり自宅の自重トレも、公式にカウントされる対象です。
注意点は、この推奨が「全員が等しく達成すべき基準」ではないこと。ガイド自体が名称を「身体活動基準」から「身体活動・運動ガイド」へ変更した理由として、基準という言葉が誤解を与える可能性を挙げています。到達点ではなく方向として使ってください。
週2日の筋トレ+週2日のHIITが最小構成
推奨事項をそのまま日程に落とすと、筋トレ週2日、HIIT週2日という形が組みやすくなります。たとえば月曜と木曜に筋トレ(全身または上下分割)、火曜と土曜にHIIT、残りは歩行で身体活動量を確保する並べ方です。
この形にする理由は、筋トレ日とHIIT日を離せば、干渉効果の要因である「同一セッションの疲労」を避けられるからです。同じ日にまとめる必要があるなら、前述のとおり筋トレを先に置きます。どちらの並びでも、連続する日に脚を酷使しない配置にしておくと回復が回ります。
注意したいのは、HIIT日を筋トレの前日に置いた場合です。脚が張った状態でスクワットに入ると重量が落ちるため、脚のトレーニング日の前日はマウンテンクライマー中心など、下肢への衝撃が小さい構成へ寄せるのが現実的です。
失敗パターン②:毎日HIIT、そして伸びが止まる
短時間だからと毎日HIITを入れてしまい、2週間ほどで疲労感が抜けなくなる。これがもう1つの典型的なつまずきです。挙上重量が落ち、睡眠の質が悪くなり、やる気だけが空回りします。
原因は、休息日を確保していないことにあります。e-ヘルスネットの筋力トレーニング情報シートも「休息日もしっかり設けること」「筋トレの時間が長くなりすぎると逆効果となる可能性がある」と明記しています。11.0メッツの運動を毎日入れれば、回復に必要な時間はさらに足りません。
対策は、HIITを週2〜3日に固定し、間に完全休養日か歩行だけの日を挟むこと。物足りない日は歩数を増やすほうが、身体活動の推奨(1日約8,000歩以上)にも合致します。強度を毎日求めるより、週単位の合計で見る癖をつけたほうが結果的に積み上がります。
筋トレ週2日+HIIT週2日を別の日に置き、残りは歩行で身体活動量を稼ぐ。同じ日にまとめるなら筋トレを先。脚のトレーニング日の前日は、ジャンプを含まない構成に寄せると重量が落ちません。
脂肪はどれだけ減る?アフターバーンの現実的な数字
EPOCは存在するが、規模は数十kcal台
HIITの説明でよく登場する「アフターバーン効果」は、EPOC(運動後過剰酸素消費)のことです。運動後も酸素消費が高い状態が続き、その分エネルギー消費が上乗せされる現象で、実在はします。
ただし規模の話になると、宣伝されている印象とはズレます。複数の報告では、EPOCによる上乗せは運動中のエネルギー消費の数%〜15%程度、1回あたり数十kcal規模とされています。4分のセッションで1日の消費が大きく変わるわけではありません。
注意点は、この数字を理由にHIITを諦める必要はないということ。EPOCは副産物であって、HIITの本来の価値は原著が示したとおり有酸素性・無酸素性の能力を短時間で刺激できることにあります。体重管理は運動だけでなく食事の内容と量が前提になります。
メッツから消費量を見積もると期待値が整う
メッツを使えば、おおよそのエネルギー消費量を計算できます。式は「メッツ×時間(時)×体重(kg)×1.05」。体重60kgの人が11メッツの運動を4分行った場合は約46kcal、体重70kgなら約54kcalという計算になります。
比較のため同じ式で計算すると、3.5メッツの運動(複合的なレジスタンストレーニングを8〜15回繰り返すやり方)を体重60kgの人が60分行った場合は約221kcalです。単位時間あたりの効率はHIITが上でも、総量では時間の長さが効いてきます。
注意点は、この式が概算であること。個人差があり、体格や動作の効率によって実際の消費量は変わります。数字は「期待値を現実に合わせるための道具」として使い、体重計の変化と食事内容のほうを主な指標にしてください。

HIITと中強度の持続運動、どちらが減量に有利かは決着していない
「HIITのほうが痩せる」という主張は広く流通していますが、研究レベルでは結論が割れています。体脂肪率の減少でHIITが有利だったとする解析がある一方、体脂肪の減少において持続的な有酸素運動より優れているとは言えないとする系統的レビューもあります。
この状況で実務的に意味があるのは、続けられるほうを選ぶという判断です。週23メッツ・時という身体活動の推奨量に届くかどうかが先で、その中身がHIITか歩行かは二番目の問題になります。
注意したいのは、短時間で済むという理由だけでHIITを選び、結果的に総運動量が減ってしまうケースです。4分×週2回では、週4メッツ・時(運動の推奨量)にも届きません。HIITは総量を置き換えるものではなく、総量の中の「強度の高い部分」を担うもの、と位置づけるのが実態に合っています。
HIITの4分は「他の運動をゼロにしていい4分」ではありません。厚生労働省の推奨は成人で週60分以上の運動(週4メッツ・時以上)と、1日60分以上の身体活動(約8,000歩以上)。HIITはこの中の強度パートとして足すのが本来の使い方です。
安全に続けるためのセッティングと強度の測り方
床・シューズ・スペースを先に決める
HIITは着地と方向転換が繰り返されるため、環境の影響を強く受けます。フローリングに直接というのは滑りやすく、膝と足首に衝撃も届きます。厚みのあるトレーニングマットを敷き、両手を広げて回れるだけのスペースを確保してから始めてください。
シューズは、室内でも履けるものがあるなら履いたほうが安定します。裸足だと着地の衝撃吸収がすべて足裏と足首に集中するためです。バーピーで手をつく位置にマットの継ぎ目が来ないよう、レイアウトも一度確認しておきます。
注意点は音と振動です。集合住宅では、時間帯を選ぶだけでなく、ジャンプを含む種目そのものを外す判断も必要になります。マウンテンクライマーや自重サーキットなら、着地音を出さずに6.0〜6.5メッツ帯の強度を確保できます。
強度は「会話ができるか」で測ると外さない
心拍計がなくても、強度の判定はできます。実施中に会話が続けられるなら中強度未満、単語しか出ないなら高強度帯、という目安です。HIITの20秒は本来、後者でなければ意味がありません。
厚生労働省の推奨も「息が弾み汗をかく程度以上」という体感の表現を使っています。数値管理が難しい一般の運動では、この主観的な指標が実用的だからです。セット後に呼吸が整うまで30秒以上かかるなら、狙った強度は出ています。
注意したいのは、息こらえです。e-ヘルスネットは筋トレ実施時に息をこらえないよう注意を促しています。力むタイミングで呼吸を止めると血圧が上がるため、動作に合わせて吐く呼吸を意識してください。めまいや胸の違和感があれば、その場で中止して受診を検討します。
記録を1行だけ残すと、続く確率が変わる
続く人と続かない人の差は、意志の強さより記録の有無に出ます。おすすめは、日付・種目・セット数・体感(5段階)の4項目だけをメモアプリに1行で残す方法です。所要時間は10秒ほどで済みます。
記録があると、強度を上げるタイミングが判断できます。同じセット数で体感が下がってきたら、セットを1つ足すか、動作を速くする。逆に体感が上がり続けているなら、回復が足りていないサインです。漸進性過負荷の原則(日常生活レベル以上の負荷を繰り返しかけ、慣れてきたら少しずつ負荷を高めていく)を実行に移すには、前回の記録が要ります。
注意点は、記録を細かくしすぎないこと。心拍数や消費カロリーまで毎回記録しようとすると、記録のほうが負担になって先に途切れます。1行で足ります。
まとめ|HIITと筋トレは足し算ではなく配置で決まる
最初の一歩としておすすめなのは、今週の予定表に筋トレの日を2つ書き込むことです。HIITはそのあとで、筋トレの入っていない日に1つだけ入れれば足ります。種目はマウンテンクライマー1つ、20秒動いて10秒休むを4セット、合計2分から。物足りなければ来週セットを足せばいいだけで、初週から原典の8セットを再現する必要はありません。強度は後から積めますが、途切れた習慣を戻すほうが手間がかかります。
※本記事の数値は厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(概要)」、e-ヘルスネット「筋力トレーニングについて」、国立健康・栄養研究所「改訂第2版 身体活動のメッツ(METs)表 成人版」、立命館大学のタバタトレーニング解説によるものです。持病がある場合や体調に不安がある場合は、開始前に医師へご相談ください。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

コメント