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ジムのラットプルダウンに行くと、マシンの横に何本もバーが立てかけてあります。長い曲がったバー、まっすぐなバー、三角のハンドル、握るところが3つあるもの。どれを使えばいいのか分からず、いつも同じ1本を取っている人は多いはずです。
結論から書きます。ラットプルダウンアタッチメントは「握るだけで効く筋肉が入れ替わる道具」ではなく、肩と手首の角度を変えて、引き切れる範囲を作るための道具です。実際、グリップ幅を変えても広背筋の筋活動量に有意差は出なかったという国内の研究報告があります。だからこそ、選ぶ基準は「どの筋肉に効くか」より「自分が最後まで引き切れるか」になります。
この記事では、ジムで見かける定番タイプの形と効きどころを整理したうえで、自宅のパワーラックやケーブルマシンに付け足すときの費用と寸法、そして買ってから後悔しやすいポイントまでを、メーカー公式のスペックと公的な研究データで確認しながら解説します。
・定番アタッチメント7タイプの形・重量・価格の違い
・グリップ幅と握り方で狙う部位を打ち分ける考え方
・自宅で使うときの3ルート(バーだけ/オプション/ラックごと)と費用
・買う前に測るべき4つの数字と、よくある3つの失敗
ラットプルダウンアタッチメントで背中の効き方はどこまで変わるのか

変えているのは筋肉ではなく、肩と手首の角度
アタッチメントを替えたときに実際に変わるのは、バーを握った瞬間の肩関節の開き方と前腕の向きです。ワイドで順手に握れば肩は外に開き、腕を体側へ閉じる動き(内転)が主役になります。手のひらを向かい合わせるパラレルグリップなら肩は前方に置かれ、肘を後ろへ引く動き(伸展)の比率が上がります。同じ「背中を引く」動作でも、通り道が変わるわけです。
この違いが意味を持つのは、可動域の端です。肩が開いた状態では、脇の下から肋骨の外側にかけての張りを感じやすくなり、肘を後ろに引ける形では、みぞおちの高さまで深く引き込めます。どちらが優れているというより、自分の肩の柔らかさに合う通り道を選べるのがアタッチメントの本質的な価値です。
逆に言えば、握る場所が変わっても、背中を使う意識やフォームが変わらなければ結果はほとんど動きません。バーを替えた翌日に効き方が劇的に変わることを期待すると、肩透かしに終わります。まずは1本を使い込み、引き切る位置を体で覚えてから2本目を検討する順番が現実的です。
グリップ幅で筋活動は変わらなかったという研究データ
グリップ幅の話は感覚論になりがちですが、国内で表面筋電図を使って測った報告があります。玉野総合医療専門学校の紀要に載った研究では、健常男性13名(21.7±1.8歳)を対象に、ナロウ=肩峰幅、ノーマル=肩峰幅の1.5倍、ワイド=肩峰幅の2倍という3条件でフロントのラットプルダウンを行い、広背筋・僧帽筋中部線維・上腕二頭筋の活動を比較しています。牽引重量は体重の40%比、動作リズムは95BPMで統制されました。
結果は、3つの筋すべてでグリップ幅による筋活動量の有意差が認められなかった(p>0.05)というものでした。一方で、どのグリップ幅でも広背筋の活動が最も高い値を示しています(p<0.01)。つまり、手幅をどう取ってもラットプルダウンは広背筋の種目である、というのが測定結果の素直な読み方です。
報告では「グリップ幅の違いが及ぼす影響は少なく、当該筋の筋力や筋への意識など個人要因が大きく関与している」と結論づけられています。被験者13名という規模で、しかも多くが未経験者という条件は割り引いて読む必要がありますが、少なくとも「ワイドにしないと広背筋に効かない」という思い込みは、いったん外していい情報です。詳細は玉野総合医療専門学校の紀要PDFで公開されています。
初心者ほどバーより先に「腕で引く癖」が出る
同じ研究には、アタッチメント選びより先に手を打つべき事実が載っています。日常的にラットプルダウンを行っている経験者は、どのグリップ幅でも広背筋を優位に働かせ、上腕二頭筋の活動が少ない傾向が見られました。対して運動経験のない被験者は、広背筋と一緒に上腕二頭筋も優位に活動させて動作していたと報告されています。
これは「腕で引いている」状態が数値に出たということです。この状態でバーだけを高価なものに替えても、腕が先に疲れて背中が働く前にセットが終わる構図は変わりません。握りを浅くする、肘から先を引っかけるだけにする、肩を下げてから引き始めるといった手順の修正が先です。
注意点として、腕の関与をゼロにはできません。ラットプルダウンは肘を曲げる動作を含むので、上腕二頭筋は必ず働きます。狙うのは「使わない」ではなく「先に力尽きさせない」こと。ここが整ってから、アタッチメントで通り道を選ぶ段階に進みます。
ローレット=バーの表面に刻まれた細かい滑り止めの溝のこと。手汗で滑るかどうかはローレットの有無と長さで決まります。掌屈=手首を手のひら側に折る動きで、この形で引くと前腕の力が入りにくくなります。
定番7タイプの形と効きどころを一枚の表で見比べる
ワイドのベント型ラットバーは「広がり」の基本形
ジムで最も見かける、両端が下に折れた長いバーがこのタイプです。IROTEC(アイロテック)のラットプルダウンバー48は全長約122cm、重量約5kgで、ケーブル取り付け部が360度回転する構造。公式ショップでの税込価格は7,150円です。両端の折れがあることで、手首を無理に返さずワイドで握れます。
広く握れる分、肩が開いた状態から腕を閉じる動きになり、脇の下から背中の外側にかけての張りを出しやすい形です。背中の「広がり」を狙う人の基本形と考えて差し支えありません。
注意点は2つあります。1つは全長が122cmあるため、自宅では左右の壁やラックの支柱に当たらないかを先に確認する必要があること。もう1つは、ワイドで握るほど肩関節の可動域を要求されるので、肩が硬い人ほど無理に外へ寄せると肩の前側が詰まりやすいことです。
ストレートバーは手幅を自分で決められる自由度が武器
まっすぐな1本棒のタイプ。IROTECのロングストレートラットバーは全長約110cm、重量約4.3kg、グリップ径は約2.5cmで、ローレット部は内側が約20cm、外側が約12cm。税込7,260円です。中央部が回転するため、引く途中で手首の向きが自然に追従します。
最大の利点は、握る位置を1cm単位で自分で決められること。前述の研究どおり幅そのものの差は小さいとしても、肩が痛くならない幅を自分で探せるのは実用的です。ラットプルダウンだけでなく、ケーブルロー、トライセプスのプレスダウンにも使い回せます。
弱点は、端の折れがないぶん、極端なワイドで握ると手首が返りやすいこと。ワイド固定で使いたい人はベント型、いろいろな幅を試したい人はストレート、と割り切るのが分かりやすい線引きです。
パラレル系は肩と手首の負担が少なく、厚みを狙いやすい
手のひらを向かい合わせて握るタイプです。IROTECのプルダウンバーは全長約63cm、内寸約40cm、グリップ部約14cm、重量約4kgで税込5,720円。もう少し幅の広いワイドパラレルグリップバーは全長約68cm、重量約4.2kgで税込6,930円です。どちらも中央部が回転します。
手のひらが向かい合う形だと肩が閉じた位置に入るため、肘を後ろへ引き込みやすくなります。結果として胸の下あたりまで深く引ける人が多く、背中の「厚み」を狙う日の相棒になります。手首が中間位で固定されるので、順手ワイドで手首や肘が痛む人の避難先としても機能します。
デメリットは可動域の狭さではなく、握り幅を変えられない点です。63cmと68cmでは肩の開き方が変わるので、体格の大きい人は狭いほうだと窮屈に感じることがあります。買う前に、自分の肩幅に対してどちらの内寸が合うかを見ておくと外しません。
多グリップ型とMAGグリップは「深く握る」ための特殊形
1本で複数の握りを持つタイプもあります。IROTECの3WAYラットブラスターバーは全長約62cm、幅約18cm、高さ約21.5cm、重量約7.3kgで税込12,100円。3種類のグリップ構成を持ち、全ハンドルにローレット加工が入っています。ローイングとラットプルダウンで上腕二頭筋の関与を変えられるのが売りです。
もう一方のMAGグリップは、正式名称をMaximum Advantage Gripという背中トレーニング専用のアタッチメントです。材質はスチール、表面はブラック結晶塗装。手関節を掌屈させた状態で引く形状のため、腕の力が入りにくいとされます。正規取扱店の販売価格はワイドサイズが24,800円程度、ミディアムサイズのオーバーグリップとニュートラルグリップが各20,800円程度で、時期や取扱店により変動します。
どちらも価格は上がります。3WAYは重量7.3kgとバー自体が重く、軽い重量で丁寧に組みたい日には扱いにくい場面も出ます。MAGグリップは種類が多く、1つ買っただけでは使い分けができないため、まず定番タイプを使い込んでから検討する順番が無難です。
| 項目 | ラットプルダウンバー48 | ロングストレートラットバー | プルダウンバー |
|---|---|---|---|
| 全長 | 約122cm | 約110cm | 約63cm(内寸約40cm) |
| 重量 | 約5kg | 約4.3kg | 約4kg |
| 握り方 | 順手ワイド中心 | 順手・逆手・幅自由 | パラレル固定 |
| 税込価格 | 7,150円 | 7,260円 | 5,720円 |
手幅と握り方で狙う部位を打ち分ける3つの基準

順手ワイドは「腕を閉じる」動きで背中の外側を作る
手の甲を自分に向けて広く握ると、肩は外に開いた位置からスタートします。ここから引くと、腕を体側に閉じる内転が主役になり、脇の下から肋骨の外側にかけての筋肉が張ります。背中の横幅を出したい日に選ぶ形です。ラットプルダウンバー48のようなベント型が、この握りにそのまま対応します。
実践するときのコツは、バーを鎖骨に向かって下ろすのではなく、肘を真下に落とす意識で引くことです。肘の落ちる先が体の横であれば内転の軌道に乗っています。肘が前に流れると、単に腕を曲げているだけの動きになります。
注意点は肩の可動域です。肩が硬い状態で無理にワイドを取ると、腕を上げた位置で肩の前側が詰まります。前述の研究のとおり幅による筋活動の差は小さいので、痛みを感じたら幅を狭める判断を優先して構いません。
逆手・ナローは「肘を後ろに引く」動きで深く引き込める
手のひらを自分に向けた逆手や、肩幅程度のナローで握ると、肩は前方から引き下ろす形になり、肘を後ろに引く伸展の比率が上がります。バーがみぞおちの近くまで下りるので、可動域の最後まで詰められるのが利点です。ストレートバーなら握り位置を変えるだけで試せます。
この握りは上腕二頭筋が動員されやすく、扱える重量が上がりやすい反面、腕の疲労が先に来る人も出ます。研究でも未経験者は上腕二頭筋を優位に働かせる傾向が示されているので、逆手に切り替えた直後は重量を落として、背中で引けているかを確認してから戻すのが安全です。
もう1つの注意は手首です。逆手は手首が反った状態で荷重を受けるため、手首が弱い人は痛みが出やすくなります。違和感があればパラレルに切り替えると、手首を中間位のまま同じような引き方ができます。
パラレルは手首と肩の逃げ道になる中間解
手のひらを向かい合わせるパラレルは、順手と逆手のちょうど中間です。手首が回らないので、順手で肘の内側が張る人、逆手で手首が痛む人の受け皿になります。プルダウンバーの内寸約40cm、ワイドパラレルグリップバーの全長約68cmという幅の差で、肩の開き具合を選べます。
使いどころは、高重量を狙う日よりも、フォームを作り直す日です。手首が固定されるため引く方向がぶれにくく、肘を後ろへ引く感覚をつかみやすくなります。背中の厚みを狙うセットの1種目目に置くと、その後の種目でも軌道が安定します。
弱点は、幅が固定されていることと、ワイドほど肩を開けないこと。背中の広がりを狙う刺激としては物足りなく感じる人もいます。1本で完結させず、ワイド系と組み合わせる前提で考えるとバランスが取れます。
首の後ろにバーを下ろすビハインドネックは、肩を大きく外転・外旋させた位置で荷重を受けるため、肩の柔軟性が足りない状態では肩の前側に詰まりが出やすい動作です。アタッチメントの形にかかわらず、初心者は首の前に引くフロント側から始めるほうが無難です。肩に痛みが続く場合は自己判断で続けず、整形外科など専門の医療機関に相談してください。
自宅でラットプルダウンを再現する3つのルートと費用
ルート1:手持ちのラックに専用ラットオプションを足す
すでにパワーラックがあるなら、メーカー純正のラットオプションを追加するのが最短です。IROTECのパワーラックHPM専用ラットオプションは税込45,100円、装着時サイズはW116×D184×H209cm、重量約34kg。ラットプルダウンとベントオーバーローが可能で、フットステップは7段階調整式、プレートスリーブはオリンピック・レギュラーの両方に対応します。
他社にも同種の設定があります。BODYMAKERのハードパワーラックSP2用ラットオプション(TM208BK)は税込33,000円、装着時サイズW123×D169×H215.5cm、プレートバーの最大重量は80kg、通常プレート内径29mmに対応し、オリンピックプレートを使う場合はアダプターが別途必要です。太ももを押さえるパッドが付き、高さ調節もできます。
注意すべきは対応機種の縛りです。IROTECのオプションはパワーラックHPM専用で他機種には装着できず、BODYMAKERのオプションもTM207ハードパワーラックSP2専用と明記されています。「同じくらいの太さのラックだから付くだろう」という判断は通用しません。

ジムで奥にでんと構えている、4本の柱で囲まれた鉄の箱。「あれ、何をする器具なんだろう」と思いながら素通りしている人は多いはずです。あるいは自宅トレを続けるうちに…
ルート2:ラック本体ごと、ラット付き構成で揃える
これから買うなら、最初からラット機能込みの構成を選ぶ手もあります。IROTECのパワーラックHPMは税込99,990円、サイズW116×D134×H201cm、本体重量106kg、75mm角・厚さ3mmの鋼材フレームです。これに前述のラットオプションを組み合わせる形になります。
一体で買えるパワーラックHPMラットオプションセットは税込145,090円、サイズW116×D184×H209cm、本体重量約140kg。チンニングバー、ディップスアタッチメント、セイフティバー、バーベルクラッチ、360度回転式のラットバーとショートバー、フットステップが付属します。
ただし奥行が効いてきます。ラックのみのD134cmに対し、ラット付きはD184cmまで伸びます。50cm近い差は6畳間だと動線を1本つぶす寸法です。加えて対応シャフトの指定もあり、180cmワイドグリップタイプまたは200cm以上が対象で、160cm・180cmの通常タイプは非対応と公式に記載されています。
| 重量 | 約34kg |
| 装着時サイズ | W116×D184×H209cm |
| 可能な種目・仕様 | ラットプルダウン/ベントオーバーロー、フットステップ7段階調整式 |
| 税込価格 | 45,100円 |
ルート3:ケーブルがあるならバーだけ買い足す
ファンクショナルトレーナーやケーブルマシンがすでにあるなら、必要なのはバー1本です。価格帯はプルダウンバーの5,720円から、3WAYラットブラスターバーの12,100円まで。ワイドで引きたいならラットプルダウンバー48が7,150円、幅を自由に取りたいならロングストレートラットバーが7,260円という並びになります。
この選択が効くのは、収納スペースを取らない点です。バー1本なら壁に立てかけるか、フックに掛けておける寸法で済みます。ラットオプションのように34kgの構造物を組み上げる必要はありません。
注意点は取り付け部の形です。カラビナやスナップフックで留める方式が一般的ですが、フックの開口幅とバー側の穴・リングのサイズが合わないと物理的に掛かりません。中央部が回転する構造かどうかも、引く途中の手首の向きに関わります。仕様は各製品ページで確認してから注文してください。
買う前に測る4つの数字と、見落としやすい条件

全長は「引ける幅」ではなく「置ける幅」で決まる
まず測るのは設置幅です。ラットプルダウンバー48は全長約122cm、ロングストレートラットバーは約110cm、ワイドパラレルグリップバーは約68cm、プルダウンバーは約63cm。この差は、そのまま左右にどれだけ余白が要るかの差になります。
自宅の場合、バーを下ろし切った位置で肘が壁やラックの支柱に当たらないかが焦点です。ラックの内寸がW116cmなら、122cmのバーは支柱の内側に収まりません。ジムで使う場合でも、隣のマシンとの間隔次第では長いバーが振り回せないことがあります。
逆に、短いバーを選べば省スペースですが、ワイドで引く選択肢は消えます。「広がりを狙いたいのに、部屋の都合で63cmしか置けない」という状況なら、バーを増やすより種目自体を組み替えたほうが早い、という判断も成り立ちます。
バー自体の重さ4〜7.3kgは、そのまま負荷に乗る
見落とされがちなのがバー自重です。プルダウンバーは約4kg、ワイドパラレルグリップバーは約4.2kg、ロングストレートラットバーは約4.3kg、ラットプルダウンバー48は約5kg、3WAYラットブラスターバーは約7.3kgあります。
ウェイトスタック式のマシンなら誤差の範囲ですが、プレートロード式のラットオプションでは話が変わります。BODYMAKERのラットオプションはプレートバーの最大重量が80kgと決まっており、そこにバー自重が加わる前提で考える必要があります。軽い重量で丁寧に組みたい日は、7.3kgのバーが最初の1回目から重く感じます。
持ち運びの負担も無視できません。34kgのラットオプションを組んだうえで、7.3kgのバーを毎回フックに掛け替えるのは、想像よりも手間です。使用頻度が高いバーほど、軽さは実用上の利点になります。

ホームジムを作りたいと思って調べ始めると、パワーラックの写真が並んだページに行き着きます。ところが、そこから逆算して器具をそろえた人ほど「置いたはいいけど使って…
取り付け部の回転機構とフックの相性
IROTECのプルダウンバー、ロングストレートラットバー、ワイドパラレルグリップバー、3WAYラットブラスターバーはいずれも中央部分が回転し、ラットプルダウンバー48はケーブル取り付け部が360度回転する構造です。回転するかどうかで、引く途中に手首や肩へ余計なねじれが伝わるかが変わります。
ここで確認したいのが、マシン側のフックとの相性です。カラビナやスナップフックはワンタッチで着脱できる金具ですが、開口幅や形状は製品ごとに違います。バー側のリングが太いと入らない、あるいは掛かっても遊びが大きくガタつく、というミスマッチは起こり得ます。
ジムの共用マシンに私物を掛ける場合は、そもそも持ち込みが認められているかを施設に確認するのが先です。マシンの破損リスクを理由に私物アタッチメントを断る施設もあります。ルールは施設ごとに違うので、フロントで一言聞いておくとトラブルになりません。
「専用」の2文字を読み飛ばさない
ラットオプションで最も多いつまずきが、対応機種の見落としです。IROTECのラットオプションはパワーラックHPM専用、BODYMAKERのTM208BKはTM207ハードパワーラックSP2専用と、どちらも公式に明記されています。同じメーカーの別モデルでも付かないことがあります。
さらに、付属しない工具の指定も確認ポイントです。パワーラックHPM専用ラットオプションの組立には17mmレンチ2本と19mmレンチ2本が必要で、いずれも別途用意する必要があります。届いた日に組めない、という足止めはここで起きます。
プレートの規格も同じです。BODYMAKERのラットオプションは通常プレート内径29mmに対応し、オリンピックプレートを使うならアダプターを別に買う必要があります。手持ちのプレートの内径を測ってから注文する、という一手間で防げる失敗です。
アタッチメント選びでやりがちな3つの失敗
失敗1:太いグリップを最初に買って握力が先に落ちる
握力も一緒に鍛えたいという理由で、太径のファットグリップタイプを1本目に選ぶ人がいます。IROTECのファットグリップラットプルダウンバーは税込9,680円で、握りが太いぶん前腕への要求が上がります。ところが背中のトレーニングとしては、これが裏目に出ることがあります。
原因は単純で、広背筋が疲れる前に指が開いてバーを保持できなくなるからです。背中はまだ余力があるのにセットが終わるので、狙った刺激が入りません。太径グリップは前腕を狙う日の道具と割り切るのが素直です。
対策は2つ。1つは標準径のバーを主力にすること。もう1つは、握力が先に切れるならパワーグリップなどの補助具を使い、背中が先に疲れる状態を作ることです。順番を間違えると、高い買い物が背中の成長を止めます。

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失敗2:重いバーを買って「軽い日」が組めなくなる
多機能な3WAYラットブラスターバーは重量約7.3kgあります。高重量で追い込む日は問題になりませんが、フォームを作り直す日や、疲労が残っている日に軽い重量で丁寧に回したいとき、バー自重の7.3kgが下限になってしまいます。
特にプレートロード式のホームジムでは影響が出ます。プレートを外していっても、バーの重さは引き算できません。「今日は軽く」という選択肢が消えるのは、継続のうえで地味に響きます。
対策は、軽いバーを1本持っておくことです。約4kgのプルダウンバーや約4.3kgのロングストレートラットバーがあれば、重量の下限を下げられます。2本目を買うなら、機能を足す方向より重さを下げる方向を先に検討する価値があります。
失敗3:機種違いのオプションを買ってしまう
ネット通販では、ラットオプションが単体で並んでいるため、対応機種の記載を読み飛ばして注文しがちです。45,100円や33,000円の商品が付かないと分かった時点で、返送料や再購入の負担が発生します。組立途中で気づくと、返品条件から外れることもあります。
チェックすべきは、ラックの型番と支柱の断面寸法、そして穴位置です。IROTECのパワーラックHPMは75mm角・厚さ3mmのフレームですが、他社ラックが同じ寸法とは限りません。型番が一致しないなら「付くはず」の推測はやめて、メーカーに問い合わせるのが確実です。
もう1つ、設置後のサイズも先に見ておきます。装着時にW116×D184×H209cmやW123×D169×H215.5cmまで大きくなるので、天井高と扉の位置を測ってから発注してください。組み上がってから「ドアが開かない」という事態は、実際に起こり得ます。
目的別に、最初の1本をどう決めるか
背中の広がりを優先するなら、ワイドで握れる長さを取る
脇の下から外側にかけての張りを作りたいなら、ワイドに握れる全長を確保します。ラットプルダウンバー48の全長約122cmなら、肩幅の2倍近い手幅も無理なく取れます。両端が折れているので、手首を返さずに済むのも実用的です。
合わせて確認したいのが設置環境。122cmを振り回せる幅がない場合は、約110cmのロングストレートラットバーでワイド寄りに握るという妥協案が現実的です。全長が短くなるぶん最大の手幅は狭まりますが、幅を自分で調整できる自由度が残ります。
デメリットとして、ワイドは肩の可動域を要求します。肩が硬い自覚があるなら、いきなり最大幅で握らず、肩幅の1.5倍あたりから始めて、痛みが出ない範囲を探る進め方が安全です。
背中の厚みを狙う日は、肘を引ける形を選ぶ
厚みを狙うなら、肘を後ろに引き込めるパラレル系です。全長約63cm・内寸約40cmのプルダウンバーは税込5,720円で、価格面でも入り口として選びやすい1本。もう少し肩を開いた位置で引きたいなら、全長約68cmのワイドパラレルグリップバーが税込6,930円です。
この2本は、ラットプルダウンだけでなくケーブルローでも使えます。1本で2種目カバーできるので、自宅で器具を増やしたくない人ほど費用対効果が出ます。
注意点は、パラレルだけに絞ると刺激が単調になりやすいこと。同じ軌道ばかり繰り返すと伸びが止まりやすいので、ワイド系と交互に使う前提で組んでおくと停滞しにくくなります。
1本で握りを試したい人と、フォームを作り直したい人
複数の握りを1本で試したいなら、3種類のグリップ構成を持つ3WAYラットブラスターバー(税込12,100円)が候補です。全長約62cm、幅約18cm、高さ約21.5cmという立体的な形で、ローイングとラットプルダウンで上腕二頭筋の関与を切り替えられます。
一方、意外と知られていないのは、アタッチメントを増やすより先に、引き切れる重量まで落とすほうが効果が出やすいという点です。前述の研究では、経験者は握り方にかかわらず広背筋を優位に使い、未経験者は上腕二頭筋も一緒に使っていました。バーの形が結果を分けたのではなく、引き方が分けたということです。手持ちの1本で肘を真下に落とし切れるまで重量を下げる。これが最も費用のかからない改善策です。
用途がはっきりしないうちに複数本を揃えると、使わないバーが場所を取るだけになります。まず1本を使い込み、「この動きがやりにくい」と具体的な不満が出てから2本目を選ぶ順番をおすすめします。
| 目的・シーン | おすすめの選択 | 税込価格 |
|---|---|---|
| 背中の広がりを狙う | ラットプルダウンバー48(全長約122cm) | 7,150円 |
| 手幅を自分で調整したい | ロングストレートラットバー(全長約110cm) | 7,260円 |
| 厚みを狙う・省スペース | プルダウンバー(全長約63cm) | 5,720円 |
| 自宅ラックに機能を追加 | パワーラックHPM専用ラットオプション(約34kg) | 45,100円 |
1本目を選ぶなら、ワイドに握れる長さがあり、握り幅を自由に決められるストレートタイプが応用範囲の広い選択です。全長約110cm・重量約4.3kgのロングストレートラットバーなら、ラットプルダウン・ケーブルロー・プレスダウンまで1本で回せます。
ラットプルダウンアタッチメントの選び方をまとめ
ここまで整理したとおり、ラットプルダウンアタッチメントの選択は「どれが効くか」ではなく「どれなら最後まで引き切れるか」で決まります。最初の一歩として、次にジムへ行ったときにいま使っているバーの全長と握り位置を確認し、肘が真下に落ちる幅がどこかを確かめてみてください。その1回で、買うべき形はかなり絞り込めます。トレーニング頻度の目安は、厚生労働省 e-ヘルスネットの筋力トレーニング情報シートにある週2〜3日が現実的な基準です。
なお、価格・仕様は変更されることがあります。購入前にはIROTEC公式(スーパースポーツカンパニー)やBODYMAKER公式など、メーカー公式サイトで最新情報をご確認ください。

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