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バーベルを買おうと商品ページを開くと、まず「28mm」「50mm」という数字で足が止まります。同じ全長220cm・20kgのバーが、25,000円のものから44,000円のものまで並んでいて、スペック表を見比べても何が違うのか分かりにくいのが正直なところではないでしょうか。
結論から言うと、バーベルのシャフト選びで見るべき数字は4つだけです。プレートの穴に合う径(28mmか50mm)/全長/シャフト単体の重量/耐荷重。この4つが決まれば候補は自然に2〜3本に絞られます。逆にここを外すと、プレートが入らない・ラックに乗らない・数か月でバーが曲がる、というやり直しが発生します。
この記事では、日本パワーリフティング協会のルールブックに書かれた競技用バーの公認寸法を出発点に、IROTEC・BODYMAKER・ONIといったメーカー公式のスペックを並べて、自宅トレで後悔しない1本の決め方を数字で整理します。EZバー(Wバー)やHEXバーのような変わり種の使いどころまで、順番に見ていきましょう。
・28mmと50mmの違いは「シャフトの太さ」ではなくプレートの穴径だという前提
・競技公認バーの寸法(全長2.2m以下・直径28mm以上29mm以下・重量20kg)の意味
・耐荷重200kgのバーと675kgのバーで何が変わるのか
・レギュラーからパワーリフティング用まで、主要7本の価格とスペック比較
バーベルのシャフトは28mmと50mmで何が変わるのか

「50mmシャフト」でも握る部分は28mmという事実
最初に押さえたいのは、28mmと50mmという数字が指しているのはプレートを差し込む先端部(スリーブ)の太さで、握るグリップの太さではないという点です。BODYMAKERのオリンピックシャフト220cmの公式スペックを見ると、シャフト全長2200mmに対して「持ち手部Φ28mm×1310mm」、スリーブ径は50mmと記載されています。つまり50mm規格のバーでも、手が触れるところは28mmです。
意外と知られていないけれど、ここを誤解したまま「50mmは太くて握りにくいらしい」と28mm規格を選んでしまう人がいます。実際に太さが変わるのはパワーリフティング用の29mmバーのような競技モデルで、規格名の50mmは握り心地とは別の話です。握りの太さで選ぶなら、見るべき欄は「スリーブ径」ではなく「持ち手部」「グリップ径」です。
注意点として、同じ「50mm」でもプレート側の穴径はメーカーで微妙に違います。競技用プレートの穴は52mm~53mmと規定されているため、家庭用の50mmプレートとはガタつきの量が変わります。カラー(留め具)が共用できないこともあるので、シャフトとプレートは同じ規格系統で揃えるのが安全です。
レギュラー(28mm)はプレートの穴が29mm、という組み合わせの決まり
28mm規格のシャフトは「レギュラー」「スタンダード」と呼ばれ、バー全体が28mmの太さで、スリーブ部分も太くなりません。対応プレートは穴径29mmのレギュラータイプで、IROTECの製品ページにも「穴径29mmのレギュラータイププレート専用」と明記されています。オリンピックプレートは物理的に固定できないため、流用はできません。
この規格を選ぶ理由は、シャフト本体の価格と重量です。IROTEC レギュラーバーベルシャフト180cmワイドグリップタイプは9,900円で重量は約10kg(カラー重量含)。50mm規格の同じ長さ帯より手が届きやすく、バー自体が軽いので、扱う総重量が30kg〜60kgのうちは選択肢として十分に成立します。
妥協点もはっきりしています。レギュラーシャフトはスリーブが回転しないため、重量が上がるほど手首とバーの向きのズレが気になります。さらにプレート1枚あたりの穴が小さいぶん、大径プレートのラインナップが限られます。後から50mm規格に乗り換えると、シャフトだけでなくプレートとカラーも買い直しになる点は先に知っておきたいところです。
買ってから気づく「穴径違い」の失敗と防ぎ方
器具選びでいちばん多いつまずきが、シャフトとプレートの規格違いです。セールで安く出ていた20kgプレートを買ったら穴が50mmで、手元の28mmシャフトでは中心でガタガタ動いて使えなかった——という状況は、レギュラーとオリンピックが同じ棚に並ぶ売り場で起きがちです。
原因は、商品名に「バーベル用」とだけ書かれ、穴径が仕様欄の下のほうに小さく載っているケースが多いからです。対策はシンプルで、注文前にシャフト側の「径」とプレート側の「穴径」の2つの数字をメモして突き合わせるだけ。28mm系なら穴径29mm、50mm系なら穴径50mm前後という対応で覚えておくと迷いません。
もう1つの落とし穴が総重量の計算です。オリンピックシャフト20kgに20kgプレートを左右1枚ずつ付ければ60kg、左右2枚ずつで100kgになります。競技ではカラー1つが2.5kgでバーとの合計が25kgと決められており、家庭用でもカラーの重さを無視すると数kg単位でズレます。「バーの重量+カラー×2+片側プレート×2」で必ず計算してください。
スリーブ=プレートを差し込む先端の太い部分。ここが50mmなら「オリンピック規格」、バー全体が28mmのままなら「レギュラー規格」と呼ばれます。カラー=プレートの外側を固定する留め具で、競技用は1つ2.5kg。ローレット=グリップに刻まれた滑り止めの溝のことです。

ダンベルでの自宅トレに慣れてきて、そろそろバーベルを、と考え始めた。でも通販サイトを開くと「28mm」「50mm」「オリンピック」「レギュラー」と見慣れない言葉…
競技用の公認寸法を知ると、自宅用の選び方が変わる
ルールブックが定める4つの数字:2.2m・28mm以上29mm以下・20kg・50mm~52mm
市販シャフトのスペックがなぜ似通っているのかは、競技規格を見ると納得できます。日本パワーリフティング協会のルールブックには、バーの全長は2.2mを超えないこと、直径は28mm以上29mm以下、バー単体20kgでカラー1つ2.5kg・合計25kg、スリーブの直径は50mm~52mmと明記されています。左右の止め金の間隔は1.31m以上1.32m以下という規定もあります。
この数字を知っておく価値は、市販品のスペック表を読む基準ができることです。「全長2200mm・20kg・スリーブ50mm」と書かれたバーは競技規格に寄せた設計で、ジムの器具と同じ感覚で扱えます。逆に全長150cmや重量13kgのモデルは、意図的に自宅向けへ小さくした設計だと判断できます。
ただし注意したいのは、寸法が合っていても公認品とは別物だという点です。ルールブックはJPA公認メーカー(ウエサカ・ティー・イー、IVANKO、ELEIKO、ザオバ、ROUGE)の公認品のみ公式競技会で使えると定めています。自宅練習に規格準拠のバーを使うのは有効ですが、「公認」と「規格に合っている」は区別して考えましょう。
81cmラインはベンチプレスの再現性を守る目印
グリップ部に刻まれた細いラインを見たことがあるでしょうか。これは81cmライン(バーの中心から左右40.5cmの位置)で、ルールブックでも印を入れることが求められている基準です。ベンチプレスでは人差し指がこのラインを越えない範囲で握るのが競技ルールなので、握り幅の上限を示す目印になります。
自宅トレでも役に立つのは、毎回同じ手幅で握れるからです。手幅が1cm変わるだけで大胸筋と三頭筋の使われ方は変わり、記録の伸びを比べても条件がそろいません。IROTEC ブラックレギュラーバーベルシャフト200cm 81cmライン付は19,800円で、QPQ加工処理により高い耐食性・潤滑性を実現したうえに81cmラインが標準装備されています。
デメリットは、ラインなしモデルより価格が上がることです。同じ200cm・28mmの標準品であるIROTEC レギュラーバーベルシャフト200cm【径28mm】は13,420円なので、ライン付きは1割以上高くなります。ラインが無い場合はグリップのローレットの端を基準にして、毎回同じ位置を握る習慣をつけるのが現実的な代替策です。
パワーリフティング用・ウエイトリフティング用・多目的は「しなり」で別物
同じ220cm・20kgでも、設計思想は3系統に分かれます。MBC POWER SHOPのバーベルガイドによると、パワーリフティングバーは直径28mm~29mm(主流は29mm)でしなりが少なく、ローレットは強い~非常に強い、回転機構はブロンズブッシング。ウエイトリフティングバーは直径28mmでしなりが大きく、ニードルベアリングで回転抵抗が少ない設計です。
この違いが効くのはスクワットとデッドリフトです。しなりの少ないバーは高重量でも背中に乗る位置が安定し、逆にしなりの大きいバーはクリーンやスナッチで反発を使えます。BIG3中心で伸ばしたい人はしなりが少ないタイプ、爆発的な種目も試したい人は回転が軽いタイプが向きます。
家庭用で多く売られているのは、直径28mm~28.5mm・しなり普通~大きい・ブッシング主流の「多目的バー」です。センターローレットが無いものが主流で、首や背中に当たる部分が痛くなりにくい一方、高重量スクワットではバーが滑りやすく感じることがあります。どちらを取るかは扱う重量で判断するのが現実的です。
女性向けに設計されたバーは2010mm・25mm・15kg
手の小さい人がバーを握ったときに「指が回りきらない」と感じるなら、規格そのものを変える選択があります。IWF公認のウィメンズバーは長さ2010mm・シャフト直径25mm・重量15kgで、男性用より細く軽い設計です。しなりは大きく、回転機構はニードルベアリングが使われます。
この規格が向くのは、握力よりも先に「バーを保持できない」ことが上限になっている人です。直径25mmまで細くなることで握り込む深さが変わり、デッドリフトでバーが指から滑り落ちる感覚が減ります。バー単体が15kgなので、総重量30kg前後から刻んで伸ばしたい段階でも扱いやすくなります。
ただし国内の家庭向け通販では選択肢が限られ、価格も上がりやすいのが弱点です。手の小ささが気になるレベルなら、まずレギュラー28mm規格のシャフトに握力補助のグリップを組み合わせ、それでも保持が課題なら細径バーを検討する順番でよいでしょう。
| 項目 | パワーリフティング用 | ウエイトリフティング用 | 多目的(家庭向け) |
|---|---|---|---|
| 長さ・直径・重量 | 2200mm/28mm~29mm/20kg | 2200mm/28mm/20kg | 2200mm/28mm~28.5mm/20kg |
| しなり・ローレット | しなり少ない/強い~非常に強い | しなり大きい/普通~強い | しなり普通~大きい/マイルド~普通 |
| 回転機構・公認 | ブロンズブッシング/IPF公認規格 | ニードルベアリング/IWF公認規格 | ブッシング主流/公認団体なし |

長さで迷ったら、測るのはシャフトではなくラックの内寸

220cm・200cm・180cm・150cmの使い分け
全長の選び方は、種目よりも設置環境で決まります。パワーラックやスクワットラックでBIG3を回すなら全長2200mmのオリンピックシャフト、ベンチ台とプレートだけで組むなら200cmや180cm、部屋が狭くベンチプレスを主目的にしないなら全長約150cmのショートタイプが候補になります。
数字で見ると差は明快です。IROTEC オリンピック用バーベルシャフト700[径50mm]ベアリングタイプは約2200mm・グリップ内寸約1350mm・プレートスリーブ約390mm・重量20kg。一方、IROTEC オリンピックバーベルシャフトショートタイプは全長約150cm・内寸(グリップ部)約95cm・重量約13kgです。内寸が約40cm狭くなるぶん、ワイドグリップのベンチプレスやスナッチグリップは窮屈になります。
注意したいのは、短いバーは軽いぶん基準重量も下がることです。バー20kgを前提に組んだメニューを13kgのバーでそのまま行うと、総重量が左右合わせて数kg変わります。ショートタイプを選ぶなら、最初にバー単体の重量をメモして計算式を作り直しておきましょう。
プレートスリーブの長さで載る枚数が変わる
見落とされがちなのがスリーブ長です。プレートを何枚差せるかはここで決まります。IROTEC レギュラーバーベルシャフト180cmワイドグリップタイプはプレートスリーブ長さ約28cm、200cmモデルは約38cm、オリンピックシャフト700は約390mmです。厚みのあるラバープレートを使うと、スリーブ長が短いモデルでは早い段階で枚数が足りなくなります。
競技規格では20kg以上のプレートの厚さは6cm以内、20kg未満は3cm以内と決まっています。仮に片側3cmのプレートを7枚差せば21cm、そこにカラーが入るので約28cmのスリーブではほぼ限界です。総重量100kg以上を目指すなら、スリーブ長は長いほうが安心できます。
スリーブが長いモデルの弱点は、バー全体が長くなり設置幅を取ることです。全長200cmのモデルでもスリーブが左右38cmずつあると、壁とラックの隙間でプレートの着脱がしづらくなります。プレートを差す側に片側50cm以上の作業スペースを確保できるか、事前に測っておきたいポイントです。
失敗パターン①:ラックに乗らない/部屋に入らない
最も痛いやり直しが、バーがラックのフックに乗らないケースです。パワーラックの支柱間が広いモデルに全長180cmのバーを載せようとすると、片側の掛かりが浅くなり、ラックアップで斜めに落ちる危険があります。逆に狭い部屋に2200mmのバーを持ち込むと、ドアや廊下で回せず設置場所まで運べないこともあります。
原因は、購入前に測るのが「部屋の広さ」だけになっていることです。必要なのはラックの支柱外寸・フックの受け幅・バーを置いたときに左右に残る余白の3点で、ここにバーの全長からグリップ内寸を引いた寸法が収まるかを確認します。ドアの開口幅と廊下の曲がり角も忘れず測ってください。
対策として、迷ったらグリップ内寸を基準に選ぶのが実用的です。ベンチプレスで81cmラインまで手を広げるなら内寸は約122cm以上あると余裕があり、逆に内寸約95cmのショートタイプでも、肩幅寄りのナローグリップやフロアプレス中心なら問題なく使えます。
①ラックのフック受け幅とバー全長の関係/②プレートを差す側に確保できる作業スペース/③搬入経路(ドア開口幅・廊下の曲がり角)/④床の補強とマットの有無。この4点を測ってから注文すると、返品・買い直しはほぼ防げます。

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耐荷重200kgと675kg、同じ20kg表示でも別物になる理由
耐荷重は「静止状態」の数字かどうかで読み方が変わる
スペック表でいちばん差が出るのが耐荷重です。BODYMAKER オリンピックシャフト220cmは耐荷重量200kg、ONI パワーリフティングバー オリンピックシャフト ハードクロームは耐荷重675kg(静止状態)と公表されています。同じ全長220cm・20kgのバーでも、想定している使い方がまるで違うということです。
読み方のコツは、静止状態の数字である点を意識することです。バーベルは持ち上げる瞬間と下ろす瞬間に静止時より大きな力がかかるため、公表値の限界付近で使う前提にはできません。耐荷重200kgのバーなら、バー20kgを含めた総重量で余裕を残す運用が現実的です。
逆に言えば、総重量が60kg〜100kgの範囲で止まる人が675kgのバーを買っても、その性能は数字としては使い切れません。予算配分としては、耐荷重に余裕のある安価なバーとプレート・ラック・床補強に振り分けたほうが、トレーニング全体の完成度は上がります。
引張強度238,000PSIとしなりの関係
耐荷重と並んで見ておきたいのが引張強度です。ONIのパワーリフティングバーは引張強度238,000PSIと公表されており、これは素材が引っ張られて破断するまでの強さを示す指標です。数値が高いほど高重量でも永久変形(曲がって戻らない状態)が起きにくくなります。
この数字が活きるのは、床にバーを下ろす種目です。デッドリフトで毎回プレートが床に当たるとバーには曲げの力が繰り返しかかります。引張強度が高いバーは繰り返しに強く、しなっても元の直線に戻ります。パワーリフティング用はしなりが少ない設計なので、ラックアップ時のふらつきも抑えられます。
ただし高強度のバーほど価格は上がります。ONIのモデルは44,000円で、IROTEC オリンピック用バーベルシャフト700[径50mm]ベアリングタイプも44,000円。家庭で扱う重量が100kgに届かない段階であれば、この価格帯は先送りしてよい投資です。順番としては、まず安全に潰れられる環境(ラックとセーフティ)を整えるほうが先になります。
失敗パターン②:プレートを付けっぱなしにしてバーが歪む
実は、家庭用シャフトが曲がる原因の多くは高重量ではありません。BODYMAKERは公式ページで「トレーニング後は必ずシャフトからプレートを外してください。プレートの重量によって、シャフトに歪みが生じる場合がございます」と明記しています。ラックに掛けたまま数週間放置する運用が、じわじわとバーを曲げます。
原因は、両端に重さが乗った状態で中央が下向きに引っ張られ続けることです。対策はトレーニング後にプレートを外し、バーは水平に保管するか壁際に立てて収納すること。プレートラックやバーホルダーを先に用意しておくと、外す作業が面倒になりません。
もう1つ、同じページには「ウエイトリフティング用シャフトではありませんので投げ落とさないでください」とも書かれています。家庭用の多目的バーは落下衝撃を前提にしていないため、デッドリフトでも下ろす動作をコントロールするのが前提です。床側の対策も含めて、バーの寿命は使い方で大きく変わります。
耐荷重の数字は「今扱う重量」ではなく「2年後に扱う重量」で選ぶと過不足が出ません。総重量100kgを視野に入れるなら耐荷重200kgのバーでも足りますが、140kgを超える計画があるなら、最初からパワーリフティング用の強度帯を選ぶほうが結果的に安く済みます。

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握りと手のダメージを決めるのは回転機構とローレットの深さ

ブッシングとベアリングは「回りすぎない」かどうかで選ぶ
スリーブが回るかどうかは、手首への負担に直結します。IROTEC オリンピック用バーベルシャフト700[径50mm]ベアリングタイプはベアリングタイプの高重量モデル、ONI パワーリフティングバーは銅製ブッシュ(回転力弱め)を採用しています。ベアリングは回転抵抗が少なく、ブッシュは回りすぎないのが特徴です。
使い分けの基準は種目です。クリーンやスナッチのように手首の中でバーを返す動きでは、回転が軽いベアリングが有利に働きます。一方スクワットやベンチプレスでは、回りすぎるスリーブがプレートの慣性でわずかに動き、かえって安定感を損ないます。BIG3中心ならブッシュ、爆発系も混ぜるならベアリングという順番で考えると迷いません。
注意点として、レギュラー28mm規格のシャフトはスリーブが回転しません。カール系やプレス系では大きな問題になりませんが、重量が上がるほどプレートの回転方向のねじれを手で受け止めることになります。総重量が100kgに近づくなら、回転機構のある50mm規格に移るタイミングです。
ローレットは深いほど良いわけではない
グリップの滑り止め加工(ローレット)は、深ければ良いという単純な話ではありません。ONIのバーはローレット幅1.5mm・深さ0.5mm〜0.6mmで、公式ページでも「手への当たりは強めです」と説明されています。滑らない代わりに、手のひらの皮膚には確実に負荷がかかります。
強いローレットが向くのは、デッドリフトでバーが滑るのが上限になっている人です。逆に高回数のベンチプレスやローイングを週2〜3日で回す人は、マイルドな加工のほうが皮膚のダメージが少なく続けやすくなります。家庭向けの多目的バーはローレットがマイルド~普通の設計が多く、この用途に合っています。
デメリットの裏返しですが、強いローレットのバーは素手で握るとマメができやすくなります。グリップの位置を毎回変えないこと、トレーニング後に手のケアをすることが前提になります。滑りが気になるなら、まずローレットの強さを上げるよりチョークやグリップ用品で補うほうが手を痛めません。
表面処理で決まるのは「錆」と「手触り」
長く使うなら表面処理も判断材料になります。IROTEC ブラックレギュラーバーベルシャフト200cm 81cmライン付はQPQ加工処理により高い耐食性・潤滑性を実現しており、ONIのハードクロームモデルはメッキで表面を保護しています。標準モデルではシャフト部分は亜鉛メッキ、スリーブはクロームメッキという組み合わせもあります。
差が出るのは保管環境です。汗が残ったまま風通しの悪い部屋に置くと、処理の弱いバーは数か月でグリップに点錆が出ます。錆が浮くとローレットの引っかかりが変わり、握った感触も落ちます。処理の違いは価格差として現れ、ブラックモデル19,800円と標準の200cmモデル13,420円の差はここに効いています。
注意点として、どの処理でもメンテナンスが不要になるわけではありません。使用後に乾いた布で汗を拭き、湿気の多い場所を避けるだけで寿命は伸びます。ケースに入れっぱなしにするより、立てて風が通る収納のほうが結果的にきれいに保てます。
目的別に選ぶバーベルシャフト7本の価格とスペック比較
最初の1本は28mm規格の180cmで十分に成立する
自宅で胸・肩・腕を中心に鍛え始める段階なら、28mm規格の180cmが扱いやすい選択です。IROTEC レギュラーバーベルシャフト180cmワイドグリップタイプは9,900円、全長180cm・グリップ部長さ約122cm・プレートスリーブ長さ約28cm・重量約10kg(カラー重量含)で、カラーが付属します。グリップ部分はローレット加工仕上げです。
この1本が成立する理由は、グリップ部長さが約122cmあるためベンチプレスで81cmライン相当の手幅まで広げられること、そしてバー単体が約10kgでベンチプレスの入口の総重量を組みやすいことです。レギュラーシャフト10kgに5kgプレートを左右2枚ずつ付ければ30kg、10kgプレートを左右2枚ずつで50kgと、刻みも作りやすくなります。
限界もはっきりしています。スリーブが回転しないため高重量では手首のねじれを受け止めることになり、スリーブ長さ約28cmでは差せる枚数も限られます。総重量が100kgを目指す段階になったら50mm規格に移る前提で、「2年使って卒業する1本」と位置づけるのが正直な評価です。
グリップ部約122cmでベンチプレスの手幅も取れる、最初の1本に扱いやすい28mm規格▼
BIG3を伸ばすなら全長2200mm・スリーブ50mmの1本に移る
スクワットとデッドリフトを本格的に回すなら、競技規格に寄せた2200mmクラスが基準になります。価格を抑えるならBODYMAKER オリンピックシャフト220cmが25,000円で、シャフト全長2200mm・持ち手部Φ28mm×1310mm・スリーブ径50mm・本体重量20kg・耐荷重量200kg・素材スチール。カラー別売りなので、留め具の予算を別に見ておく必要があります。
回転機構と強度に投資するなら、IROTEC オリンピック用バーベルシャフト700[径50mm]ベアリングタイプが44,000円。約2200mm・グリップ内寸約1350mm・プレートスリーブ約390mm・重量20kgで、ベアリングタイプの高重量モデルです。スリーブが約390mmあるので、総重量140kgクラスのプレート枚数にも対応しやすくなります。
選び分けの基準は、2年後に扱う総重量です。100kg前後で頭打ちになる見込みなら耐荷重量200kgのモデルで足り、そこを超える計画があるならベアリングタイプに最初から投資したほうが買い直しがありません。どちらを選んでも、プレートは穴径50mm系で揃える必要があります。
競技を視野に入れるなら29mm・耐荷重675kgのパワーバー
パワーリフティングの試合に出る予定があるなら、競技と同じ握りに慣れておく価値があります。ONI パワーリフティングバー オリンピックシャフト ハードクロームは44,000円で、全長220cm・シャフト直径29mm・スリーブ径50mm・重量20kg(±1%)・耐荷重675kg(静止状態)・引張強度238,000PSI・JPA公認。グリップマークは81cm(パワーリフティング公式基準)です。
この1本の価値は、本番と同じ29mmの太さとローレットの当たりで練習できることです。ローレット幅1.5mm・深さ0.5mm〜0.6mmで「手への当たりは強めです」と公式が明記しているレベルなので、試合当日に初めて感触が変わるという事態を避けられます。銅製ブッシュ(回転力弱め)はBIG3向きの挙動です。
注意点は、競技志向でない人にはオーバースペックになることです。強いローレットは皮膚への負担が大きく、週2〜3日のトレーニングでも手のケアが必要になります。価格も家庭向けの2倍前後になるため、まずラックとプレートを整えたうえで、競技出場が現実になった段階で検討するのが賢い順番です。
| モデル | 全長・径 | 重量 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| IROTEC レギュラー180cmワイドグリップ | 180cm/28mm | 約10kg(カラー含) | 9,900円 |
| IROTEC レギュラー200cm | 200cm/28mm | 約10.6kg(カラー含) | 13,420円 |
| IROTEC ブラックレギュラー200cm 81cmライン付 | 200cm/28mm | 約10kg(カラー含) | 19,800円 |
| IROTEC オリンピックショートタイプ | 約150cm/スリーブ50mm | 約13kg | 16,500円 |
| BODYMAKER オリンピックシャフト220cm | 2200mm/持ち手Φ28mm・スリーブ50mm | 20kg(耐荷重量200kg) | 25,000円 |
| IROTEC オリンピックシャフト700 ベアリング | 約2200mm/50mm | 20kg | 44,000円 |
| ONI パワーリフティングバー ハードクローム | 220cm/29mm・スリーブ50mm | 20kg(±1%)(耐荷重675kg) | 44,000円 |
| 目的・シーン | おすすめの選択 | 価格目安 |
|---|---|---|
| 自宅で胸・腕から始めたい | 28mm規格・180cm(カラー付属) | 9,900円 |
| 部屋が狭くベンチ中心 | 50mm規格・約150cmショートタイプ | 16,500円 |
| BIG3を総重量100kgまで伸ばす | 2200mm・スリーブ50mm・耐荷重量200kg | 25,000円 |
| 140kg超えを計画している | ベアリングタイプの高重量モデル | 44,000円 |
| 競技出場を視野に入れる | 29mm・JPA公認のパワーバー | 44,000円 |
腕と脚が伸びる変わり種のバー:WバーとHEXバー
Wバー(EZバー)は手首の角度を変えて肘を守る
アームカールで手首の内側が痛むなら、ストレートバーから波形のWバーに替えるだけで解決することがあります。IROTEC レギュラーWバー【穴径29mmプレート専用】は5,390円、全長120cm・グリップ部分80cm・プレートスリーブ部分18cm・径28mm・重量(約)6kgでカラー付属。50mm規格ならIROTEC オリンピックWバー(カラー付)が12,100円で、全長120cm・グリップ内寸80cm・プレートスリーブ17.5cm・重量9.7kgです。
効く理由は、握る角度が斜めになることで前腕の回外が弱まり、肘と手首の関節への負担が分散されるためです。公式でも「上腕二頭筋と上腕三頭筋のトレーニングに適した湾曲形状」と説明されており、カールとスカルクラッシャーの両方で使えます。バー単体が約6kgなら、総重量を細かく刻めるのも利点です。
注意点は、規格の混在です。レギュラーWバーは穴径29mmのレギュラータイププレート専用でオリンピックプレートに対応しません。すでに50mmプレートを持っているなら、9.7kgのオリンピックWバーを選ばないとプレートを共用できません。買い足す前に、手元のプレートの穴径を確認してください。
HEXバー(トラップバー)はデッドリフトの腰の不安を減らす
デッドリフトで腰に不安がある人に向くのが六角形のHEXバーです。IROTEC レギュラーHEXバーオープンバックタイプは24,200円で全長約143cm・グリップ径約2.5cm・重量約18kg、穴径29mmのレギュラープレート専用。50mm系ならIROTEC オリンピックHEXバーが24,750円で全長約142cm・グリップ径約2.5cm・重量約20kgです。
構造上の利点は、六角形の中に立って引くため重心が体の中心に来ることです。公式説明でも「六角形のセンターに入ることにより、前後重量バランスを取れる」とされ、バーが脛に当たらないので上体を立てたまま引けます。オープンバックタイプは「ランジ等の動作の大きいトレーニングに適してます」「床に立てて置けるため省スペースで収納可能」とされ、自宅では収納面でも有利です。
デメリットは、通常のデッドリフトとはフォームも効く部位も変わることです。上体が立つぶん大腿四頭筋の関与が増え、ハムストリングスへの刺激は相対的に減ります。競技のデッドリフトを伸ばしたい人はストレートバーが主、HEXバーは補助種目という位置づけが妥当です。
どこまで買い足すか:頻度から逆算して決める
変わり種のバーは魅力的ですが、ストレートバーより先に買うものではありません。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人および高齢者に筋トレを週2〜3日実施することを推奨しています。週2〜3日のトレーニングで実際に使う種目数から逆算すると、必要なバーは意外と少なくなります。
優先順位を数字で考えると分かりやすいです。BIG3をカバーするストレートバー1本が9,900円から25,000円、そこにWバーを足して5,390円から12,100円、HEXバーはさらに24,200円から24,750円。腕の種目が伸び悩んでいる、あるいは腰の不安で脚の日を飛ばしている、という具体的な行き詰まりが出てから買い足すほうが無駄がありません。
注意したいのは、器具を増やすほど床と収納の負担が増えることです。約18kgや約20kgのHEXバーは立てて置けるモデルでも場所を取り、プレートの本数も増えます。トレーニングの中身が固まる前に器具を揃えると、使わない器具のほうが部屋を占めるという結果になりがちです。
| 全長・グリップ内寸 | 120cm/グリップ内寸80cm |
| プレートスリーブ・径 | 17.5cm/径50mm |
| 重量・付属 | 9.7kg/簡易カラー付 |
| 価格(税込) | 12,100円 |
まとめ:4つの数字を測れば買うシャフトは決まる
最初の一歩は、通販サイトを見る前にメジャーを持つことです。ラックのフック受け幅、プレートの穴径、搬入経路のドア開口幅の3つを測ってメモすれば、候補は自然に2本程度まで絞られます。そのうえで「2年後に扱う総重量」を決めれば、9,900円の28mm規格で足りるのか、25,000円の2200mmクラスに進むべきかが数字で判断できます。迷ったら、扱う重量が上がっても使い続けられる側を選んでおくと後悔が少なくなります。
※価格・スペックは2026年9月時点で各メーカー公式ページに掲載されていた内容です。仕様変更や在庫状況で変わる場合があるため、購入前に公式サイトでご確認ください。

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